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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100E799

有価証券報告書抜粋 株式会社ジェイテックコーポレーション 研究開発活動 (2018年6月期)


経営上の重要な契約等メニュー株式の総数等

当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する。」を経営理念とし、「日本の成長戦略の科学技術、特に創薬、医療技術のイノベーションの推進に寄与するシステムを提供する」という経営方針のもと、産学連携を中心に技術開発、製品開発を推進しております。現在、放射光施設用X線ナノ集光ミラー等の開発販売を推進するオプティカル事業及びiPS細胞やその他の創薬や再生医療等に関連した各種細胞培養装置を開発販売するライフサイエンス・機器開発事業の2つの事業を柱とし、研究開発活動はこれら事業の関連技術を中心に実施しております。
具体的には、2013年に関西イノベーション国際戦略総合特区の研究事業に認定されたプロジェクト「放射光とシミュレーション技術を組み合わせた革新的な創薬開発の実施」(プロジェクト概要:ジェイテック(注1)の開発センターにおいて、実験設備などの整備を行う。タンパク質の解析等を行う高性能の「X線ナノ集光ミラー」の開発を目指す。)及び「先端医療技術(再生医療・細胞治療等)の早期実用化」(プロジェクト概要:臨床研究のための移植に有効な大型の軟骨組織等の細胞組織を培養することができる「全自動細胞培養システム」の開発を目指す。)を中心に研究開発を進め、現在本プロジェクト終了後も、X線ナノ集光ミラー及び各種細胞培養システムを中心に開発を推進しております。
当事業年度の当社の研究開発費は173,902千円であります。
(注1):ジェイテックは2013年当時の当社社名であります。当社は2016年5月に株式会社ジェイテックから株式会社ジェイテックコーポレーションへ商号変更を行っております。

(1) オプティカル事業
当事業年度のオプティカル事業においては、以下の研究開発を推進してまいりました。

① 放射光施設用X線集光ミラーの生産性の向上や高精度化を目指したナノ加工技術及びナノ計測技術に関する研究開発
本事業の主要製品であるX線ナノ集光ミラーは、放射光X線をある一定の角度で全反射させ、特定の一点にナノメートルレベルに集中(集光)させることが特長です。本ミラーによりナノメートルレベルに集光されたX線は、従来製品と比べ、様々な物質を短時間で、高精度、高分解能に分析することが可能となります。たとえば医薬品の開発において新たな製品の開発等に必要な観察や同定を行ううえで重要な役割を担っており、物質科学、生命科学、医学など様々な分野で幅広く利用され、医療・産業技術の発展に貢献しております。また最近は、基礎研究分野に加えて医療・バイオだけでなく、環境・エネルギー、化学、自動車など企業の素材や製品開発に活用され、産業利用ニーズが高まっております。
このようなX線ナノ集光ミラーを製造するためには、ナノメートルレベルの精細な表面加工技術が必要だけでなく、設計通りに加工されたことを確認するためのナノメートル精度の計測技術が必要不可欠となります。当社では大阪大学の超平坦化基盤技術であるナノ加工技術EEMとナノ計測技術RADSI及びMSIを、大阪大学より技術移転を受け、実用化に成功し、海外の競合他社では利用できない独自のナノ加工技術として確立しました。
しかし海外の競合企業でも研究開発が活発で、技術的優位性を保持するためには絶え間ない技術開発が必要不可欠であると考えております。
なお、本ナノ加工技術を実用化した事業により経済産業省の2016年「はばたく中小企業・小規模事業者300社の生産技能部門生産性優良企業」に選定されました。

② 放射光施設向けの次世代商品の開発
当事業年度では下記の研究事業に申請・採択され、最近世界各地で計画されている次世代の放射光施設向けに対応した形状可変ミラーの実用化研究を推進し、商品化に成功しました。

・新規採択の研究事業
「回折限界下で集光径可変な次世代高精度集光ミラーの製造技術の開発」
(2017年度兵庫県最先端技術研究事業(COEプログラム):兵庫県2017年9月~2018年3月)共同研究先:㈱ジェイテックコーポレーション、(財)高輝度光科学研究センター、(独)理化学研究所、大阪大学
現在世界各国で建設・稼働し始めている次世代放射光施設の高輝度化に伴い,同じ試料を同時に様々な分析手法で測定するために,集光径を自在に変えるミラーの需要が高まっており、大阪大学と理化学研究所はナノレベルで任意形状に変形できる形状可変ミラーを開発し,世界で初めて回折限界で集光径を自在に制御することに成功しました。
本研究事業では,当社はこの成果を基に大阪大学と理化学研究所の協力を得て、高精度形状可変ミラーの実用化のための製造技術を開発に成功し、2018年4月に上市いたしました。

③ 第3の事業を目指した加工技術の研究開発
オプティカル事業に係る研究開発は、大阪大学の森勇藏名誉教授及び山内和人教授の長年の研究成果で、世界に類を見ない原子レベルの究極の加工技術を基にしたもので、自由な曲面をナノメートルレベルの形状精度で実現し、現在は放射光用X線ミラーだけでなく、その他産業分野にも適用を図るために大学及び企業と研究開発を進めております。
例えば、半導体分野で使用されるX線光学素子に関し、次世代装置では1ナノメートルレベルの形状精度が必要不可欠となり、本加工技術が唯一実現できるものであると評価され、分析装置や製造装置メーカーと研究開発を推進しております。

この結果、オプティカル事業に係る当事業年度の研究開発費は90,459千円となりました。

(2) ライフサイエンス・機器開発事業
事業年度のライフサイエンス・機器開発事業においては、以下の研究開発を推進してまいりました。

① 当社製品のiPS細胞用自動培養装置CellPetのバージョンアップ開発
2013年に商品化に成功したiPS細胞用自動培養装置CellPetは、iPS細胞研究者のために毎日の煩わしい培地交換作業の自動化を実現した装置ですが、2015年度 おおさか地域創造ファンド重点プロジェクト事業助成金を得て、ユーザーからの新しい要望に応えるために細胞観察機能等新機能を実現するためのユニット開発を実施してまいりました。当該事業年度では、バージョンアップしたCellPet Ⅱの追加の検証実験を実施してまいりました。

② 当社独自の3次元培養技術CELLFLOATを用いた「iPS細胞等の3次元大量培養技術の開発」
当社の3次元培養技術CELLFLOATは、2005年より産業技術総合研究所と共同研究を推進してきた独自の回転浮遊培養技術であり、ディッシュやフラスコを用いた静置培養法と比べ、湿重量で5倍の細胞組織を形成し、培養時間も1/3に短縮し、100%正常細胞の培養が実現可能という研究成果を得ております。また、従来の3次元浮遊培養技術と比べ、閉鎖系(汚染リスク排除)で、細胞に対してストレスが適度で、栄養・酸素補給、排泄物除去などの効率性に優れており、3次元培養技術では有効な方法であると評価されております。
2014年度から28年度まで戦略的基盤技術高度化支援事業(2016年度中小企業経営支援等対策費補助金 経済産業省)に採択され、産業技術総合研究所、大阪大学と創薬スクリーニング用の3次元組織細胞を大量に培養可能な回転浮遊培養装置CellPet 3Dの開発とその3次元組織細胞を用いた創薬スクリーニング操作の自動化システムを開発してまいりました。(テーマ「iPS細胞等の3次元大量培養技術の開発」)
本事業ではさらに本大量培養技術の深堀り研究として、iPS細胞に特化したスフェロイド大量培養技術の開発も推進し、CellPet 3D-iPS及びCellPet FTの製品化に成功しました。
本装置を使った新しい継代培養技術は「JiSS」と名付け、従来のiPS細胞の継代培養に代わる画期的な培養技術として評価されており、昨年度さらに下記の助成事業に採択され、本3次元大量継代培養技術の実用化開発を推進し、当事業年度も研究開発を継続実施いたしました。

・今年度継続助成事業
「iPS細胞等幹細胞の高効率な継代作業を実現した3次元大量継代培養技術の実用化開発」
(戦略的基盤技術高度化支援事業 2017年度中小企業経営支援等対策費補助金、経済産業省:2017年9月~2020年3月予定)共同研究先:大阪大学
再生医療への大きな期待により、国や企業が多額の研究費により難治性疾患治療法の確立が急務となっております。しかし、再生医療には高品質で大量のiPS細胞が必要ですが、現在iPS細胞は主に手作業で培養されており、生存率などの品質が低く、細胞の形質にバラつきが多く、また手間やコストもかかるのが現状です。
そこで、本研究では臨床現場に普及し易い低コストの大量継代培養自動化システムを構築し、品質、バラつき、コストを満足する細胞の提供を目指しております。

③ 再生医療等に用いるヒト軟骨デバイスの実用化のための3次元細胞培養システムの開発
2013年から27年度まで京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区事業(課題解決型医療機器等開発事業、医工連携事業化推進事業)に採択され、横浜市立大学、大阪大学及び産業技術総合研究所と当社の3次元培養技術CELLFLOATを用いた再生医療向け3次元細胞培養システム(CELL MEISTER-3D)を試作開発してまいりました。(テーマ「再生医療等に用いるヒト軟骨デバイスの実用化のための3次元細胞培養システムの開発」)
CELL MEISTER-3Dは世界初の弾性軟骨デバイスを用いた再生医療の実現を目指し、臨床前研究を実施してまいりましたが、昨年度には新たに横浜市立大学と神奈川県立こども医療センターと共同で、下記の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の委託研究事業に採択され、臨床研究を目指し、下記の本研究開発事業に採択され、大型の3次元培養技術の開発、培養ベッセルの試作開発及び本3次元細胞培養システムCELL MEISTER-3Dの改良等を実施し、当事業年度も研究開発を継続実施いたしました。

・今年度継続委託研究事業
「臨床試験を目指す3次元細胞培養システムを用いた革新的ヒト弾性軟骨デバイスの創出」
(産学連携医療イノベーション創出プログラム 日本医療研究開発機構(AMED):2016年10月~2019年3月予定)共同研究先:横浜市立大学、神奈川県立こども医療センター
本研究事業の一部は、2016年4月に大阪大学吹田キャンパス内の産学共創本部B棟に開設いたしました当社独自の細胞培養センターへと引き継いでおります。再生医療等に用いる数十mm以上の大きさの弾性軟骨の大型組織細胞の培養を可能とする3次元細胞培養システムを開発して製品化の目途を立てており、来年以降の医師主導の治験を目指して準備を進めております。
さらに、弾性軟骨の大型化に伴い、膝・耳・鼻等対象疾患の拡大が期待でき、本研究を通じて再生医療の培養技術を習得し、当社の開発した3次元培養装置の販売だけでなく、システム全体のサービスも含めたトータルシステムの販売を目指しております。

なお、当細胞培養センターでは大学や企業と獲得した競争的資金で進める共同研究を推進するために、本技術を用いた細胞培養装置の培養評価や培養技術の開発だけでなく、大学や企業と様々な培養技術に関する共同研究を積極的に実施しております。
当細胞培養センターにおける研究開発は、ライフサイエンス・機器開発事業に含まれております。

その結果、細胞培養センターにおける研究開発費を含む本事業に係る当事業年度の研究開発費は83,443千円となりました。


経営上の重要な契約等株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E33777] S100E799)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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