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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10052W6

有価証券報告書抜粋 ソニーグループ株式会社 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2015年3月期)


研究開発活動メニュー株式の総数等

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り・前提を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な前提にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計方針であると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計方針として考えています。
投資
ソニーの投資は、原価法あるいは持分法により会計処理されている負債及び持分証券を含みます。投資価値に一時的でない下落が認められた場合は減損を認識し、その投資は公正価値まで評価減されます。ソニーは、個々の有価証券の一時的でない減損を判定するため、投資ポートフォリオを定期的に評価しています。公正価値の下落が一時的であるか否かを判断するにあたっては、公正価値が取得原価を下回っている期間及びその程度、発行企業の財政状態、業績、事業計画及び将来見積キャッシュ・フロー、公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスクの増大、ソブリンリスクならびに公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間までソニーが保有し続けることができるか否かなどを考慮します。
公正価値が容易に算定できる売却可能証券の減損の判定において、公正価値が長期間(通常6ヵ月間)取得価額に比べ20%以上下落した場合、公正価値の下落が一時的でないと推定されます。この基準は、その公正価値の下落が一時的でない有価証券を判定する兆候として採用されています。公正価値の下落が一時的でないと推定された場合でも、下落期間又は下落率を上回る、公正価値の下落が一時的であることを裏付ける十分な根拠があれば、この下落は一時的であると判断されます。一方で、公正価値の下落が20%未満又は長期間下落していない場合でも、公正価値の下落が一時的でないことを示す特定要因が存在する場合には、減損が認識されることがあります。
満期保有目的の負債証券に一時的でない減損が発生した場合、損益に認識される一時的でない減損の金額は、この負債証券を売却する意思があるかどうか、又は償却原価まで価値を回復する前にこの負債証券の売却が必要となる可能性の方が高いかどうかに左右されます。負債証券がこのいずれかの基準を満たす場合、損益に認識される一時的でない減損金額は、減損測定日における負債証券の償却原価と公正価値の差額全額です。これらの2つの基準を満たさない負債証券の一時的でない減損については、損益に認識される正味金額は償却原価とソニーの将来キャッシュ・フローの最善の見積りを、負債証券の減損前における計算上の実効金利を用いて割り引くことにより計算される正味現在価値の差額にあたる信用損失です。減損測定日における負債証券の公正価値と正味現在価値の差額は累積その他の包括利益に計上されます。一時的でない減損が損益に認識された負債証券の未実現損益は累積その他の包括利益の独立した項目として計上されます。
投資の公正価値の下落が一時的であるか否かの判定は、多くの場合、主観的であり、発行企業の業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、投資価値の下落が一時的であると判断している有価証券について、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化あるいは市場金利変動の影響等の事後情報の評価にもとづき、将来、公正価値の下落が一時的でないと判断され、投資の未実現評価損が費用として認識され将来の収益を減額する場合があります。
棚卸資産の評価
ソニーは低価法により棚卸資産を評価します。棚卸資産原価と正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成及び処分までの費用を控除した額)の差額を評価減計上します。ソニーは、部品や製品が陳腐化したり、在庫量が使用見込みを上回ったり、又は在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。市場環境が予測より悪化してさらなる値下げが必要な場合には、将来において追加の評価減計上が必要となります。
長期性資産の減損
ソニーは、保有して使用される長期性資産及び処分予定の長期性資産又は資産グループの簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、減損の有無を検討しています。保有して使用される長期性資産は割引前将来キャッシュ・フローと長期性資産又は資産グループの簿価を比較することにより減損の検討が行われています。この検討は、主として製品カテゴリーごと(例:液晶テレビ)、特定の場合には、企業ごとの将来キャッシュ・フローの見積りにもとづいて行われます。資産又は資産グループの簿価が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損を認識します。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。
マネジメントは将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは合理的であると考えています。しかしながら、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。

企業結合
ソニーは取得法の適用時に、みなし取得価格を識別可能資産及び引受負債に割り当て、残余の取得価格は営業権として計上しています。取得価格の割当では、識別可能資産及び引受負債、特に無形固定資産の公正価値の決定に重要な見積りが使用されます。通常、独立した外部の第三者が評価プロセスに関与します。重要な見積り及び前提は、収益及び将来キャッシュ・フローの計上時期及び金額、将来キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、ならびにターミナル・バリューを決定する際に適用される永久成長率等を含みます。
見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この取得価格は異なる金額で評価され、取得資産及び引受負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況はこのような見積りに影響を与える可能性があることから、営業権を含む取得資産の減損損失の計上又は引受負債の増加が必要となる可能性があります。

営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は償却せず、年一回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。減損の可能性を示す事象とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。営業権及び非償却性無形固定資産の減損判定において、ソニーは報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値がその帳簿価額を下回る可能性が50%超でないことを証明できる事象又は状況の存在についての定性的評価を最初に行うことが認められています。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。ソニーは、報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値がその帳簿価額を下回る可能性が50%超であると判断しない場合、その後の営業権及び非償却性無形固定資産の減損判定を行う必要がなくなります。しかしながら、ソニーが別の判断をするか、又は定性的評価を行わない場合は、二段階での減損判定手続の第一ステップを行う必要があります。2015年3月31日において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、二段階での手続により減損判定を行いました。
第一ステップは、報告単位の見積公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額とを比較することにより、減損の可能性を判定するために行われます。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権は減損していないとみなされ、第二ステップは行われません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、減損金額を測定するため、営業権の減損判定のための第二ステップを行います。営業権の減損判定のための第二ステップでは、報告単位の営業権の公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。営業権の公正価値は企業結合において認識される営業権の金額と同様の方法により決定されます。すなわち、その報告単位があたかも企業結合により取得され、その公正価値が報告単位を取得するために支払われた買収価格であるかのように、公正価値を報告単位の全ての資産・負債(未認識の無形固定資産を含む)に配分します。非償却性無形固定資産の減損判定は、その無形固定資産の公正価値と帳簿価額との比較により行います。無形固定資産の帳簿価額が公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。
営業権の減損判定の第一ステップにおける報告単位の公正価値や、第二ステップにおける報告単位の個々の資産・負債(未認識の無形固定資産を含む)の公正価値の決定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。同様に、非償却性無形固定資産の公正価値の決定においても、見積り・前提が使用されます。これらの見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。これらの減損判定において、ソニーは、社内における評価を行い、またマネジメントが妥当と判断する場合には第三者による評価を活用するとともに、一般に入手可能な市場情報を考慮に入れています。報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。将来キャッシュ・フローの見積りに加えて、報告単位の公正価値を決定する際の将来キャッシュ・フローに使用する最も重要な前提は、割引率と、割引キャッシュ・フロー分析に使用するターミナル・バリューを決定する際に適用される永続成長率の二つです。営業権の減損判定のための割引キャッシュ・フロー分析に使用された割引率は、それぞれの報告単位に対する特定リスク要因と同様に、市場及び産業データを考慮します。ターミナル・バリューを決定するためにそれぞれの報告単位に使用される永続成長率は、一部の報告単位はより長期の予測期間を使用するものの、通常は当初の3ヵ年予測期間の後、過去の経験、市場及び産業データにもとづいて設定しています。
以下に記載するものを除き、営業権及び非償却性無形固定資産を持つ報告単位の公正価値が帳簿価額を超過したため、減損が生じていないと考え、減損判定の第二ステップは行なわれず、その結果、営業権及び非償却性無形固定資産の重要な減損の計上はありませんでした。営業権の減損を判定する際に、営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮しました。
2014年度において、ソニーはMC分野の営業権の減損損失176,045百万円及びその他分野の営業権の減損損失1,090百万円を計上しました。これは当該報告単位の公正価値の減少によるものです。当該報告単位の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積現在価値にもとづき算定されています。

2015年3月31日現在のセグメントごとの営業権の帳簿価額は以下のとおりです。

金額
(単位:百万円)
G&NS154,399
IP&S6,059
デバイス37,762
映画224,239
音楽132,369
金融2,314
その他4,113
合計561,255

マネジメントは、営業権の減損判定に使用した将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損を認識することになる可能性があります。2014年度の減損判定における公正価値の計算の感応度分析を実施するため、ソニーはそれぞれの報告単位の見積公正価値が10%下落したと仮定して計算を行いました。その結果、公正価値の10%下落により営業権の減損判定の第一ステップが不合格となる報告単位はありませんでした。
退職年金費用
従業員の退職年金費用及び債務は、最新の統計数値にもとづく割引率、退職率及び死亡率を含む特定の前提条件に加え、年金制度資産の長期期待収益率及びその他の要因にも左右されます。特に割引率と長期期待収益率は、期間退職・年金費用及び退職給付債務を決定する上で、二つの重要な前提条件です。前提条件は、少なくとも年に一度、又はこれらの重要な前提条件に重大な影響を与えるような事象の発生又は状況の変化があった場合に評価されます。
米国会計基準にしたがって、前提条件と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来認識される退職年金費用及び退職給付債務に影響します。マネジメントはこれらの前提条件が適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、ソニーの退職給付債務及び将来の退職年金費用に影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの主要な年金制度は国内年金制度です。個別の海外年金制度に関して、年金制度資産及び退職給付債務の国内及び海外総額にとって重要性のあるものはありません。
ソニーは2015年3月31日現在の国内年金制度の退職給付債務の決定において、1.0%の割引率を適用しました。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の収益率情報を使用し、給付の見込支払額と時期を考慮して決定されます。この収益率情報には、公表されている市場情報及び複数の格付け機関から提供される数値が使用されています。この1.0%の割引率は2013年度に使用された1.4%から0.4ポイントの低下となり、昨今の日本における市場金利状況を反映しています。
年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。国内年金制度における2014年3月31日及び2015年3月31日現在の年金資産の長期期待収益率は、それぞれ3.0%でした。2013年度及び2014年度の実際の収益率は、それぞれ8.8%及び11.4%でした。実際の収益率が見込み収益率を上回った要因としては、年間を通じて株式市場が好調であったことに加え、円安による外貨建て資産時価が高くなったことなどが挙げられます。実際の結果と年金制度資産の長期期待収益との差異は、累積され、退職年金費用の一部として将来の平均残存勤務年数にわたって償却されます。その結果、毎年の退職年金費用のボラティリティが軽減されています。2014年3月31日及び2015年3月31日現在における、ソニーの国内年金制度についての年金制度資産の損失を含む年金数理純損失は、それぞれ2,370億円及び2,185億円でした。2014年度において、退職給付債務の決定に使用した割引率が前年を下回った影響があったものの、年金制度資産の実際の収益率が長期期待収益率を大幅に上回ったことにより、年金数理純損失は減少しました。
以下の表は、他の前提条件を2015年3月31日より一定とした場合の、2015年度における国内年金制度の割引率と年金制度資産の長期期待収益率の変動による影響を表しています。

前提条件の変更予測給付債務退職年金費用純資産
(税効果後)
割引率
0.25ポイント増/0.25ポイント減-/+325億円-/+15億円+/-10億円
年金制度資産の長期期待収益率
0.25ポイント増/0.25ポイント減--/+17億円+/-12億円


繰延税金資産の評価
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。
日本の当社及び一部子会社、米国のSony Americas Holding Inc.(以下「SAHI」)及びその連結納税グループ、スウェーデンのSony Mobile Communications AB、英国のSony Europe Limited(以下「SEU」)及び他の税務管轄における一部の会社は、それぞれ累積で税引前損失を計上しています。累積損失の計上は、繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたり、繰延税金資産に対する評価性引当金は計上不要であると判断することが困難な重要な否定的証拠とみなされます。
当社、SAHI、㈱ソニー・コンピュータエンタテインメント、Sony Computer Entertainment Europe Limited及びSEUに関して回収可能とみなされている繰延税金資産の金額は、連結会社間の移転価格に関して50%超の可能性をもって調整される不確実な税務ポジションを考慮しています。これらの移転価格は、米国、英国及び日本での二国間事前確認制度(Bilateral Advance Pricing Agreements、以下「APAs」)の申請を受けて、関係する政府間で検討されています。ソニーは、貸借対照表日時点での様々な法人間の繰延税金資産の配分や金額を含む税務処理に関して、これらの政府間交渉による最終的な結果を見積もることが要求されます。ソニーは見積もられた税金費用を、通常これらの手続の進捗や移転価格の税務調査の進捗に応じて見直し、必要に応じて見積りを調整しています。
事前確認制度による交渉は、マネジメントによる損益配分の現在の見積評価と異なる結果となる場合があり、その配分がソニーの繰延税金資産の金額又は回収可能性に有利もしくは不利な影響をもたらし、評価性引当金の計上金額が見直される可能性があります。その結果、追加的な証拠が入手可能となり、不確実な税務ポジションに対する引当とともに評価性引当金の評価を調整する可能性があります。
繰延税金資産の評価に関する見積りは、貸借対照表日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込を反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、APAsの交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産を回収可能額まで減額するために、将来において追加的な評価性引当金の計上が要求される可能性があります。一方、将来の業績改善やビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連する質的要因や不確実性を考慮した上で、税金費用の戻し入れをともなう評価性引当金の取崩しが計上される可能性があります。現在の見込において予想していないこれらの要因や変化は、評価性引当金が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
映画会計
映画会計においては、作品ごとの予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは次の2点において重要となります。第一に、映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。第二に、ある映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいています。
マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優あるいは女優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、DVD、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、DVD、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。
保険契約債務
保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。保険契約債務は1.5%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び契約脱退率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表に拠っています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。
生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.9%から2.0%です。変額保険については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約及び年金開始後契約が含まれています。投資契約に対する付与利率は、0.1%から6.3%です。
(2)経営成績の分析
営業概況

2013年度
(億円)
2014年度
(億円)
増減率
(%)
売上高及び営業収入77,67382,159+5.8
持分法による投資利益(損失)△7439-
営業利益265685+158.7
税引前利益257397+54.3
当社株主に帰属する当期純損失△1,284△1,260-

連結業績
売上高
2014年度の売上高及び営業収入(以下「売上高」)は、前年度比5.8%増加の8兆2,159億円となりました。この増収は、主に、為替の影響、「プレイステーション 4」(以下「PS4TM」)が好調なG&NS分野の大幅な増収、イメージセンサーが好調なデバイス分野の大幅な増収によるものです。一方、主にPC事業を収束したことによりその他分野の売上高は大幅に減少しました。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。
2014年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ109.9円、138.8円となり、前年度の平均レートに比べ、米ドルに対しては8.8%、ユーロに対しては3.2%の円安となりました。
(後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、「売上高」については、売上高のうち、純売上高及び営業収入のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、「金融ビジネス費用」は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。)

売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業損益(純額)
2014年度の売上原価は、前年度に比べ1,351億円(2.6%)増加して5兆2,751億円となり、売上高に対する比率は前年度の75.8%から73.9%に改善しました。この増加にはG&NS分野におけるPlayStation®Vita(以下「PS Vita」)やPlayStation®TV (以下「PS TV」)用の部品に対する評価減112億円も含まれています。
研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度に比べ17億円(0.4%)減少の4,643億円となり、売上高に対する比率は、前年度の6.9%に対して2014年度は6.5%になりました。
販売費及び一般管理費は、構造改革により人件費が減ったものの、主に円安の影響により、前年度に比べ829億円(4.8%)増加して1兆8,115億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は当年度において25.5%となり、前年度は25.4%であったことから、ほぼ前年度並みとなりました。
その他の営業損益(純額)は、前年度に比べ1,330億円(273.3%)悪化し、1,817億円の損失を計上しました。この大幅な悪化は、全社(共通)及びセグメント間取引消去に含まれる御殿山テクノロジーセンターの土地及び建物の一部売却にともなう売却益148億円があったものの、主にMC分野において営業権の減損判定の結果、MC事業の公正価値の減少にともない、営業権の減損1,760億円を計上したことによるものです。なお、2013年度は、その他分野におけるエムスリー㈱株式の一部売却益128億円が含まれますが、デバイス分野における電池事業の長期性資産の減損321億円、日本及び米国以外のディスク製造事業の長期性資産及びディスク製造事業全体の営業権の減損256億円、ならびにPC事業の長期性資産の減損128億円がその他分野に計上されていました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『21 連結損益計算書についての補足情報』参照)

持分法による投資損益
営業損益に含まれる持分法による投資損益は、前年度の74億円の損失に対し、2014年度は39億円の利益となりました。この損益改善は、その他分野に含まれるインタートラスト・テクノロジー社の持分法投資損益の改善などによるものです。

営業損益
2014年度の営業利益は、前年度比421億円増加し、685億円となりました。この大幅な増益は、主に、デバイス分野、G&NS分野、ならびにHE&S分野の大幅な損益改善によるものです。一方、MC分野では営業権の減損1,760億円を計上したことなどにより、大幅に損益が悪化しました。
2014年度の構造改革費用(純額)は、前年度に比べ174億円増加し、980億円となりました。また、PC事業収束にともなう費用は、前年度に比べ187億円減少し、396億円(うち、構造改革費用は196億円)になりました。2014年度のPC事業収束に関する損失の内訳は以下のとおりです。

その他全社(共通)及び
セグメント間取引消去
連結前年度比
増減額
億円億円億円億円
(ア)構造改革費用11878196△213
(イ)その他のサービス費用など *200-200+26
PC事業収束にともなう費用(ア、イの合計)31878396△187
PC事業収束にともなう費用を除く営業損失 **△239-△239+94
PC事業の営業損失合計△557△78△635+282
* その他のサービス費用などにはPC事業の顧客サポートにともなう給与及び人件費などが含まれています。
** 2014年度のPC事業収束にともなう費用を除く営業損失には、過去実績にもとづく配賦によりPC事業に計上された販売会社の固定費が含まれています。

その他の収益及び費用
2014年度のその他の収益は、前年度から174億円(40.9%)減少し、251億円となりました。一方、その他の費用は前年度に比べ107億円(24.7%)増加し、539億円となりました。その他の収益からその他の費用を差し引いた純額は、前年度に比べ281億円悪化し、288億円の費用となりました。これは主に、為替差損(純額)の増加及び投資有価証券売却益の減少によるものです。前年度の投資有価証券売却益には、㈱スカパーJSATホールディングス株式の売却益74億円が含まれていました。
為替差損(純額)は、前年度に比べ113億円(122.6%)拡大し、205億円を計上しました。この為替差損の増加は、主に、ソニーの締結している通常のデリバティブ契約が、想定される取引の為替変動のリスクを低減したものの、特に2014度後半における大幅な米ドル高から生じた損失によるものです。なお、受取利息及び配当金は前年度に比べ38億円(22.6%)減少して129億円となりました。支払利息は前年度に比べ1億円(0.6%)増加し、236億円となりました。

税引前利益
2014年度の税引前利益は、前年度に比べ140億円(54.3%)増加し、397億円となりました。

法人税等
2014年度の法人税等は、887億円となり、実効税率は日本の法定税率を上回りました。これは主に、税率の低い海外子会社において利益が増加したこと、ならびに日本の法人税率の引き下げにともなう繰延税金負債の取り崩しにより一部税金費用の戻し入れを計上した一方で、繰延税金資産に対し評価性引当金を計上しているソニー株式会社及び一部の子会社において計上した損失に対して税金費用の戻し入れを計上しなかったこと、ならびに当年度に計上された税務上損金に算入されない営業権の減損によるものです。なお、税金に関する米国会計基準にしたがって、その他の包括利益の計上にともない一部税金費用の戻し入れを計上しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照)

当社株主に帰属する当期純損益
当社株主に帰属する当期純損失(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度に比べ24億円縮小し、1,260億円となりました。
非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度に比べ174億円増加し、2014年度は770億円の利益となりました。この増加は主に、非支配持分が40%であるSFHにおいて利益が増加したことによるものです。
基本的及び希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純損失はいずれも前年度の124.99円の損失に対し、2014年度は113.04円の損失になりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照)
分野別営業概況
以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高及び営業収入は、セグメント間取引を含みます。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『29 セグメント情報』参照)

ビジネスセグメント情報
売上高及び営業収入

2013年度
(億円)
2014年度
(億円)
増減率(%)
MC11,91813,233+11.0
G&NS10,43913,880+33.0
IP&S7,4127,200△2.9
HE&S11,68612,073+3.3
デバイス7,7309,578+23.9
映画8,2968,787+5.9
音楽5,0335,446+8.2
金融9,93810,836+9.0
その他8,5804,911△42.8
全社(共通)及びセグメント間取引消去△3,359△3,786-
連結合計77,67382,159+5.8

営業利益(損失)

2013年度
(億円)
2014年度
(億円)
増減率(%)
MC126△2,204-
G&NS△188481-
IP&S263547+107.7
HE&S△255201-
デバイス△124931-
映画516585+13.4
音楽502590+17.4
金融1,7031,933+13.5
その他△1,361△1,034-
小計1,1822,029+71.6
全社(共通)及びセグメント間取引消去*△917△1,344-
連結合計265685+158.7

* 全社(共通)及びセグメント間取引消去には、各セグメントに配賦されない本社の構造改革費用及びPC事業の収束に付随して発生した販売会社の規模縮小にともなう構造改革費用が含まれています。また、ソニーモバイルの支配権取得時にエリクソンから取得した無形資産である知的財産権のクロスライセンス契約等の知的財産の償却費を含むその他本社費用が含まれています。

MC分野
2014年度のMC分野の売上高は、高付加価値モデルへの注力による製品ミックスの改善や為替の影響などにより、前年度比11.0%増加し、1兆3,233億円となりました。
営業損益は、前年度の126億円の利益に対し、当年度は2,204億円の損失となりました。前述の製品ミックスの改善がありましたが、当分野において営業権の減損1,760億円*を計上したことに加え、コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響などにより損益が悪化しました。
* ソニーは2014年7月にMC分野の中期計画の見直しに着手し、2014年9月にMC分野における実績や事業環境の変化、及びモバイル事業の市場や競争環境が大きく変化したことを踏まえ、MC分野の中期計画を変更しました。この新しい中期計画では、一部地域における戦略の見直しや、高付加価値ラインアップへの集中を含み、以前の中期計画と比べて将来キャッシュ・フローが低くなる見込みです。その結果、MC事業の公正価値が減少していると判断しました。

主要製品の売上台数は以下のとおりです。

主要製品の売上台数

2013年度
(万台)
2014年度
(万台)
台数増減
(万台)
増減率(%)
スマートフォン3,9103,91000

G&NS分野
2014年度のゲーム分野の売上高は、前年度比33.0%増加し、1兆3,880億円となりました。当年度において、「プレイステーション 3」(以下「PS3®」)のハードウエア及びソフトウエアは減収となりましたが、主に、PS4TMのハードウエアの販売台数の増加、ネットワークサービス収入の大幅な増加、為替の影響、ならびにPS4TMのソフトウエアの増収により、分野全体で大幅な増収となりました。
営業損益は、前年度の188億円の損失に対し、当年度は481億円の利益となりました。PS3®のソフトウエアの減収による影響、コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の損益に対する悪影響、及びPS VitaやPS TV用の部品に対する評価減112億円の計上がありましたが、主に前述の増収の影響により、分野全体で大幅な損益改善となりました。なお、前年度には、一部のPC向けソフトウエアタイトルの評価減62億円が計上されていました。

ゲーム事業に含まれる各ハードウエア及びソフトウエアに関する売上台数・本数は以下のとおりです。

各ハードウエアに関する売上台数及びソフトウエア売上高

ハードウエア売上台数2013年度
(万台)
2014年度
(万台)
台数増減
(万台)
増減率(%)
据置型ハードウエア(PS4TM、PS3)1,4601,790+330+22.6
携帯型ハードウエア(PS Vita及びPSP)410330△80△19.5

2013年度
(億円)
2014年度
(億円)
増減率(%)
ソフトウエア(売上高)*3,8404,600+19.8

* ソフトウエア売上高には、G&NS分野におけるパッケージソフトウエア及びネットワークソフトウエアの売上高を含みます。


IP&S分野
2014年度のIP&S分野の売上高は、為替の影響、及びデジタルカメラ*における高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善がありましたが、市場縮小の影響によりデジタルカメラ及びビデオカメラの販売台数が大幅に減少したことなどにより、前年度比2.9%減少し、7,200億円となりました。
営業利益は、前年度比284億円増加し、547億円となりました。前述のデジタルカメラ及びビデオカメラの減収の影響がありましたが、販売費及び一般管理費の削減や為替の好影響、及び前述の高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などにより、前年度に比べ、分野全体で大幅な増益となりました。

製品部門別の外部顧客向け売上高及び主要製品の売上台数は以下のとおりです。

製品部門別の外部顧客向け売上高

2013年度
(百万円)
構成比
(%)
2014年度
(百万円)
構成比
(%)
増減率
(%)
デジタルイメージング・プロダクツ442,72360.0432,59460.4△2.3
プロフェッショナル・ソリューション277,41737.6271,90338.0△2.0
その他17,3342.411,7611.6△32.2
合計737,474100.0716,258100.0△2.9

主要製品の売上台数

2013年度
(万台)
2014年度
(万台)
台数増減
(万台)
増減率
(%)
デジタルカメラ *
(デジタルイメージング・プロダクツ事業)
1,150850△300△26.1

* デジタルカメラは、コンパクトデジタルカメラ、レンズ交換式一眼カメラ、及びレンズスタイルカメラを含みます。

HE&S分野
2014年度のHE&S分野の売上高は、前年度比3.3%増加し、1兆2,073億円となりました。オーディオ・ビデオは減収となりましたが、主に、為替の影響及びテレビの増収により、分野全体で増収となりました。液晶テレビの販売台数は、中南米と中国において大幅に減少しましたが、北米、日本及び欧州において大幅に増加し、全体で増加しました。
営業損益は、前年度の255億円の損失に対し、当年度は201億円の利益となりました。コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響がありましたが、主に、コスト削減及び高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などにより、分野全体で大幅な損益改善となりました。
なお、テレビについては、売上高は、前年度比10.7%増加の8,351億円となりました。この増収は、主に、前述の販売台数の増加及び為替の影響によるものです。営業損益*については、コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響がありましたが、コスト削減及び高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などにより、前年度の257億円の損失に対し、当年度は83億円の利益となりました。
* 分野全体に含まれる構造改革費用は製品カテゴリーには配賦されておらず、テレビの営業損失には含まれていません。

製品部門別の外部顧客向け売上高及び主要製品の売上台数は以下のとおりです。

製品部門別の外部顧客向け売上高

2013年度
(百万円)
構成比
(%)
2014年度
(百万円)
構成比
(%)
増減率
(%)
テレビ754,30864.7835,06869.3+10.7
オーディオ・ビデオ400,82834.4366,05030.4△8.7
その他10,8710.93,8040.3△65.0
合計1,166,007100.01,204,922100.0+3.3

主要製品の売上台数

2013年度
(万台)
2014年度
(万台)
台数増減
(万台)
増減率
(%)
液晶テレビ1,3501,460+110+8.2

デバイス分野
2014年度のデバイス分野の売上高は、前年度比23.9%増加し、9,578億円となりました。この増収は、主に、モバイル機器向けの需要増加によるイメージセンサーの大幅な増収、為替の影響、ならびにカメラモジュールの大幅な増収によるものです。なお、外部顧客に対する売上高は、前年度比29.8%増加しました。
営業損益は、前年度の124億円の損失に対し、当年度は931億円の利益となりました。この大幅な損益改善は、主に、前述のイメージセンサーの増収の影響、前年度に電池事業において321億円の長期性資産の減損を計上したこと、ならびに為替の好影響によるものです。

製品部門別の外部顧客向け売上高は以下のとおりです。

製品部門別の外部顧客向け売上高

2013年度
(百万円)
構成比
(%)
2014年度
(百万円)
構成比
(%)
増減率
(%)
半導体336,84557.8496,69465.6+47.5
コンポーネント243,75141.8253,02033.4+3.8
その他2,4930.47,0100.9+181.2
合計583,089100.0756,724100.0+29.8

棚卸資産
エレクトロニクス5分野合計(MC分野、G&NS分野、IP&S分野、HE&S分野、及びデバイス分野の合計)の2014年度末の棚卸資産は、前年度末比576億円(9.3%)減少の5,612億円となりました。

外部顧客に対する売上高の地域別分析
エレクトロニクス5分野合計の2014年度の外部顧客に対する地域別売上高は、前年度に比べ、日本で1%、米国で31%、欧州で24%、中国で17%、アジア・太平洋地域(日本及び中国を除く)では12%、その他地域では1%の増加となりました。全地域の合計で15%の増加となりました。
日本においては、タブレットなどの売上が増加しました。米国及び欧州においては、ゲーム事業などの売上が増加しました。中国においては、イメージセンサーや電池などの売上が増加しました。アジア・太平洋地域では、イメージセンサーなどの売上が増加しました。その他地域では、テレビなどの売上が減少しましたが、スマートフォンなどの売上が増加しました。

地域別の生産状況
エレクトロニクス5分野合計の2014年度の年間全生産高の約60%が自社生産、約40%が社外への生産委託によるものです。
年間自社生産高のうち、約35%は日本における生産であり、デジタルカメラ、家庭用ビデオカメラ、液晶テレビ、業務用機器、半導体、コンポーネント(電池、記録メディアなど)などを生産しました。日本の年間自社生産高のうち約80%は輸出されました。中国における生産高は年間自社生産高の約40%で、そのうちの約75%は輸出されました。日本と中国を除いたアジアでは年間自社生産高の約25%を生産し、そのうちの約65%が米州、日本、欧州、中国向けに出荷されました。年間自社生産高の5%未満が米州と欧州で生産され、ほとんどがそれぞれ生産された地域で販売されました。

映画分野
映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Pictures Entertainment(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。
2014年度の映画分野の売上高は、前年度比5.9%増加し、8,787億円となりました(米ドルベースでは4%の減収)。米ドルベースでの減収は、主に、映画製作及びテレビ番組制作の減収によるものです。映画製作は、前年度に比べ劇場公開作品数が少なかったことによる劇場興行収入の減少などにより減収となりました。テレビ番組制作の減収は、前年度に「Wheel of Fortune」を含むSPEが制作するクイズ番組に関するライセンス契約につき対象範囲を拡大した上で更新したことによるものです。メディアネットワークは、前年度及び当年度における事業買収にともなうデジタルゲーム収入及び広告収入の増加により、前年度に比べ増収となりました。
営業利益は、米ドルに対する円安の好影響により、前年度比69億円増加し、585億円となりました。米ドルベースの営業損益は、ほぼ前年度並みでした。前年度において「ホワイトハウス・ダウン」及び「アフター・アース」の劇場興行収入が想定を下回ったことに対し、当年度の劇場興行収入が堅調だった好影響がありました。また、構造改革費用が前年度に比べ、減少しました。一方、前年度には、SPEが保有していた音楽出版カタログの売却益の計上、当年度には前述のテレビ番組制作の減収及びインドのテレビネットワークにおける番組制作・購入費及び広告宣伝費の増加の影響もありました。
なお、当年度において、2014年11月に認識したSPEのネットワーク及びITインフラに対するサイバー攻撃に関連して、主に調査及び復旧のための費用約41百万米ドル(49億円)を計上しました。

2014年度末の未認識の放映権収入は約14億米ドルでした。すでに完成した映画作品やテレビ番組を放送局に提供する契約を放送局との間で締結しているため、SPEは今後10年間この金額を収入として計上することができると見込んでいます。現在の収益認識の基準にもとづきSPEでは放映権収入は放送可能となった年度において、放映権収入として認識しています。

ビジネス部門別の外部顧客向け売上高

2013年度
(百万円)
構成比
(%)
2014年度
(百万円)
構成比
(%)
増減率
(%)
映画製作422,25550.9434,25449.6+2.8
テレビ番組制作247,56829.9252,45628.8+2.0
メディアネットワーク158,84519.2189,60421.6+19.4
合計828,668100.0876,314100.0+5.7

音楽分野
音楽分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Music Entertainment(以下「SME」)の円換算後の業績、円ベースで決算を行っている日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの業績、及びソニーが株式の50%を保有する音楽出版事業の合弁会社であり、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony/ATV Music Publishing LLC(以下「Sony/ATV」)の円換算後の業績を連結したものです。
2014年度の音楽分野の売上高は、主に米ドルに対する円安の好影響により、前年度比8.2%増加し、5,446億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、ほぼ前年度並み)。前年度の為替レートを適用した場合、世界的なパッケージメディア及びデジタルダウンロードの売上の減少がありましたが、デジタルストリーミング配信売上の増加による影響などがあり、分野全体の売上高はほぼ前年度並みとなりました。当年度にヒットした作品には、ワン・ダイレクションの「フォー」、AC/DCの「ロック・オア・バスト」、メーガン・トレイナーの「タイトル」、乃木坂46の「透明な色」、マイケル・ジャクソンの「エスケイプ」などがあります。
営業利益は、前年度比88億円増加し、590億円となりました。これは、円安の好影響、EMI Music Publishingを中心とした持分法による投資利益の増加、ならびに広告宣伝費の減少などによるものです。

ビジネス部門別の外部顧客向け売上高

2013年度
(百万円)
構成比
(%)
2014年度
(百万円)
構成比
(%)
増減率
(%)
音楽制作347,68470.7383,35071.8+10.3
音楽出版66,86913.670,95913.3+6.1
映像メディア・プラットフォーム77,50515.779,67714.9+2.8
合計492,058100.0533,986100.0+8.5

金融分野
ソニーの金融分野には、SFH及びSFHの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)等の業績が含まれています。
以下に掲載されているソニー生命の業績は米国会計原則に則ったものであり、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。

2014年度の金融ビジネス収入は、主にソニー生命の増収により、前年度比9.0%増加し、1兆836億円となりました。ソニー生命の収入は、当年度の日本の株式相場の上昇幅が前年度を上回ったことなどにともない特別勘定における運用損益が改善したことに加え、保有契約高の拡大にともない保険料収入が増加したことなどから、前年度比9.6%増加し、9,671億円となりました。
営業利益は、主にソニー生命の増益により、前年度に比べ230億円増加し、1,933億円となりました。ソニー生命の営業利益は、一般勘定における運用損益が改善したことに加え、前述の日本の株式相場の上昇にともな
い変額保険の最低保証にかかる責任準備金繰入額が減少したことなどから、前年度に比べ183億円増加し、
1,780億円となりました。

金融分野を分離した経営成績情報
以下の表は、金融分野の経営成績情報及び金融分野を除くソニー連結の経営成績情報です。この金融分野を分離した要約情報は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこの情報を金融分野を除く業績の分析に用いており、このような表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。

要約損益計算書(3月31日に終了した1年間)
金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結
2013年度2014年度2013年度2014年度2013年度2014年度
科目金額(百万円)金額(百万円)金額(百万円)金額(百万円)金額(百万円)金額(百万円)
金融ビジネス収入993,8461,083,629--988,9441,077,604
純売上高及び営業収入--6,780,5047,141,4926,778,3227,138,276
売上高及び営業収入993,8461,083,6296,780,5047,141,4927,767,2668,215,880
金融ビジネス費用及び営業費用821,218889,5406,921,2947,218,5287,733,3978,151,253
持分法による投資利益(損失)△2,336△782△5,0384,703△7,3743,921
営業利益(損失)170,292193,307△145,828△72,33326,49568,548
その他の収益・費用-純額2-7,800△20,987△754△28,819
税引前利益(損失)170,294193,307△138,028△93,32025,74139,729
法人税等その他54,16142,18453,29063,094154,110165,709
金融分野の当期純利益116,133151,123----
金融分野を除くソニー連結の当期純損失--△191,318△156,414--
当社株主に帰属する当期純損失----△128,369△125,980

その他分野
2014年度の売上高は、前年度比42.8%減少し、4,911億円となりました。この大幅な減収は、主にPC事業収束によるものです。
営業損失は、前年度に比べ327億円縮小し、1,034億円となりました。前年度においてエムスリー㈱株式の一部売却にともなう売却益128億円が計上されていましたが、当年度はPC事業の営業損失が縮小したことなどにより、損失が縮小しました。なお、前年度の営業損失には、日本及び米国以外のディスク製造事業の長期性資産ならびにディスク製造事業全体の営業権の減損256億円が計上されていました。

構造改革
厳しい経営環境の中、ソニーは、エレクトロニクス事業の再生を実現するため、様々な変革に取り組んでいます。本社・販売会社についてもコスト削減に取り組み、この削減にともなう効果として、2015年度では2013年度比で約1,000億円以上の固定費削減を見込んでいます。
2014年度の構造改革費用は、前年度の806億円に対し、980億円となりました。(2014年度の金額には、構造改革に関する資産の減価償却費73億円が含まれています。前年度には、構造改革に関する資産の減価償却費を50億円計上しました。)2014年度の構造改革費用は、前年度比174億円(21.6%)増加しました。2014年度の980億円の費用のうち533億円は人員関連の費用です。連結損益計算書上、この費用は主に販売費及び一般管理費に計上されています。人員関連の費用は前年度に比べ27.4%増加しました。2014年度の構造改革費用は、主に、エレクトロニクス事業及び本社の構造改革によるものです。
(「第2 事業の状況」で記載している構造改革費用は、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『20 構造改革にかかる費用』に記載されている「構造改革に関連する資産の減価償却費」を含んでいます。)

為替変動とリスク・ヘッジ
2014年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ109.9円、138.8円と前年度の平均レートに比べ米ドルは8.8%、ユーロは3.2%の円安となりました。
2014年度の連結売上高は、前年度に比べ5.8%増加し、8兆2,159億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、ほぼ前年度並みとなりました。前年度の為替レートを適用した場合の情報については、この章の最後の注記をご参照ください。
連結営業利益は、前年度に比べ421億円増加し、685億円となりました。一方、前年同期の為替レートを適用した場合は、前年同期に比べ約370億円の増加となります。連結営業損益における為替変動の好影響は、主にエレクトロニクス5分野において生じたものです。
前述の5分野ごとの為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「業績等の概況」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。

2013年度2014年度増減前年同期の為替レートを適用した場合の増減為替変動による影響額
(億円)(億円)(億円)
MC分野売上高11,91813,233+11.0%+7%+453
営業利益(損失)126△2,204△2,330億円△2,396億円+66
G&NS分野売上高10,43913,880+33.0%+25%+865
営業利益(損失)△188481+669億円+820億円△151
IP&S分野売上高7,4127,200△2.9%△7%+339
営業利益263547+284億円+172億円+111
HE&S分野売上高11,68612,073+3.3%△2%+646
営業利益(損失)△255201+456億円+650億円△194
デバイス分野売上高7,7309,578+23.9%+16%+612
営業利益(損失)△124931+1,055億円+681億円+374

なお、映画分野の売上高は前年度比5.9%増加の8,787億円となりましたが、米ドルベースでは、約4%の減収でした。音楽分野の売上高は前年度比8.2%増加の5,446億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、ほぼ前年度並みでした。詳細な分析は、「経営成績の分析」の「映画分野」及び「音楽分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFHを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。
2014年度において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約500億円の減少、営業損益では約30億円の増加と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約100億円、営業損益では約60億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『4 事業等のリスク』参照)
ソニーの連結業績は、主に生産地と販売地の通貨が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。これらの変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て売上債権や買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。
ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)をロンドンに設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSとソニー㈱がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しております。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前から3ヵ月前までの間にヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主にALMの一環としてデリバティブを活用しています。
また、特にエレクトロニクス5分野では、為替変動が業績に与える影響を極力小さくするために、海外において市場により近い地域での資材・部品調達、設計、生産を推進しています。
キャッシュ・フローヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、ただちにその他収益・その他費用に計上されます。2014年度末における外国為替契約の想定元本の合計及び資産に計上された公正価値(純額)の合計は、それぞれ2兆1,843億円、83億円となっています(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15 デリバティブ及びヘッジ活動』参照)。
注:この章において、前年度の為替レートを適用した場合の売上高は、2014年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して計算した売上高を指しています。為替変動による営業利益(損失)への影響は、前年度為替レートを適用した売上高から、前年度為替レートを適用した売上原価ならびに販売費及び一般管理費を差し引いた形で見込まれています。前年度の為替レートを適用した場合の、売上原価、販売費及び一般管理費は、今年度の現地通貨建て月別原価ならびに販売費及び一般管理費に対し、前年度の月次平均レートを適用して計算した原価ならびに販売費及び一般管理費を指しています。なお、MC分野においては、ユーロベースで集計した上で、前年度の為替レートを適用した金額を算出しています。映画分野及び音楽分野のSME及びSony/ATVにおいては、ドルベースで集計した上で、前年度の為替レートを適用した金額を算出しています。前年度の為替レートを適用した場合の売上高及び営業利益(損失)は、米国会計基準に則って開示されるソニーの財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、前年度の為替レートを適用した場合の売上高及び営業利益(損失)は、投資家の皆様にソニーの営業概況を理解頂くための有益な分析情報と考えております。

所在地別の業績
所在地別の業績は、企業のセグメント及び関連情報に関する開示にもとづく地域(顧客の所在国)別情報について、前述の「分野別営業概況」に含め関連付けて分析的に記載しています(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 セグメント情報』参照)。


(3)財政状態の分析

資産
2014年度末の総資産は、前年度末に比べ5,006億円(3.3%)増加し、15兆8,343億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の総資産は、前年度末に比べ1,903億円(3.1%)減少し、5兆9,420億円となりました。金融分野では7,419億円(7.9%)増加し、10兆899億円となりました。

流動資産
2014年度末の流動資産は、前年度末に比べ70億円(0.2%)減少し、4兆1,979億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の流動資産は、前年度末比790億円(2.6%)減少し、2兆9,116億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結の現金・預金及び現金同等物は、前年度末に比べ642億円(8.0%)減少し、2014年度末において7,419億円となりました。これは主に、財務活動によるキャッシュ・フローの支払超過額が、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フロー合計の受取超過額を上回ったことによるものです(後述の「キャッシュ・フローの状況の分析」参照)。
金融分野を除いたソニー連結の受取手形及び売掛金(貸倒・返品引当金控除後)は、前年度末に比べ297億円(3.4%)増加し、8,938億円となりました。一方、為替の影響を除くと3%減少しました。この減少は主に、PC事業の収束によるものです。
金融分野を除いたソニー連結のその他流動資産は、主に棚卸資産が減少したことにより、前年度末比441億円(3.3%)減少し、1兆2,726億円となりました。
棚卸資産は、前年度末に比べて685億円(9.3%)減少し、6,654億円となりました。
金融分野における2014年度末の流動資産は、主にソニー生命において有価証券が増加したことにより前年度末比721億円(5.9%)増加の1兆2,886億円となりました。

投資及び貸付金
投資及び貸付金は、前年度末に比べ6,123億円(7.7%)増加し、2014年度末において8兆5,314億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結の投資及び貸付金は、前年度末に比べ141億円(3.7%)増加し、3,952億円となりました。
2014年度末の金融分野の投資及び貸付金は、前年度比6,505億円(8.6%)増加の8兆2,177億円となりました。これは主として、ソニー生命において投資及び貸付金が増加したことによるものです(後述の「投資有価証券」参照)。

有形固定資産(減価償却累計額控除後)
2014年度末の有形固定資産は、前年度末に比べ107億円(1.4%)減少し、7,393億円となりました。
2014年度の金融分野を除いたソニー連結の有形固定資産は、前年度比123億円(1.7%)減少の、7,207億円となりました。2014年度の設備投資額(有形固定資産の増加額)は、前年度に比べ20億円(1.2%)増加し、1,634億円となりました。
金融分野の有形固定資産は、前年度末に比べ2億円(1.5%)増加し、2014年度末において173億円となりました。

その他の資産
2014年度末のその他の資産は、ソニー生命における保有契約高の増加による繰延保険契約費の増加があったものの、MC分野における営業権の減損1,760億円の計上などにより、前年度末比1,235億円(5.7%)減少し、2兆606億円になりました(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『10 営業権及び無形固定資産』と『11 保険関連科目』参照)。


負債
2014年度末の流動負債及び固定負債合計は、前年度末に比べ3,542億円(2.8%)増加し、12兆9,006億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の流動負債及び固定負債合計は、前年度末に比べ2,210億円(5.1%)減少し、4兆935億円となり、金融分野では5,738億円(6.9%)増加し、8兆8,407億円となりました。

流動負債
2014年度末の流動負債は、前年度末に比べ380億円(0.8%)減少し、4兆7,456億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の流動負債は、前年度末に比べ447億円(1.6%)減少し、2014年度末において2兆6,695億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結の短期借入金及び1年以内に返済期限が到来する長期借入債務は、前年度末に比べ1,564億円(42.1%)減少し、2,152億円となりました。これは主に、第25回無担保社債の償還(1,100億円)などの長期借入債務の返済があったことによるものです。
金融分野を除いたソニー連結の支払手形及び買掛金は、主にPC事業収束の影響により、前年度末比906億円(12.7%)減少し、6,222億円となりました。
2014年度末の金融分野の流動負債は、前年度末比67億円(0.3%)増加の2兆784億円となりました。

固定負債
2014年度末の固定負債は、前年度末に比べ3,922億円(5.1%)増加し、8兆1,550億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結の固定負債は、前年度末に比べ1,764億円(11.0%)減少し、1兆4,240億円となりました。また、金融分野を除いたソニー連結の長期借入債務は、前年度末に比べ2,043億円(23.3%)減少し、6,711億円となりました。この減少は、2017年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債が転換したこと、長期借入債務が流動負債へ振替えられたことなどによるものです。2014年度末の金融分野の固定負債は、前年度末に比べ5,671億円(9.2%)増加し、6兆7,623億円となりました。これは、ソニー生命における保有契約高の増加により保険契約債務が増加したことなどによるものです。

有利子負債
2014年度末の短期借入金と長期借入債務を合わせた有利子負債残高合計は、前年度に比べ3,608億円(27.9%)減少し、9,336億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の有利子負債残高合計は、前年度に比べ3,608億円(28.9%)減少し、8,863億円となりました。

償還可能非支配持分
2014年度末の償還可能非支配持分は、前年度に比べ11億円(27.5%)増加し、52億円となりました。

当社株主に帰属する資本
2014年度末の当社株主に帰属する資本は、前年度に比べ589億円(2.6%)増加し、2兆3,171億円となりました。利益剰余金は、当社株主に帰属する当期純損失1,260億円の計上により、前年度末比1,265億円(13.5%)減少の8,138億円となりました。一方、累積その他の包括利益は、主に外貨換算調整額608億円を計上したことにより、前年度末に比べ663億円(14.7%)改善し、3,853億円の損失となりました。なお、2014年度末の当社株主に帰属する資本比率は、前年度末の14.7%から0.1ポイント悪化して14.6%になりました。

金融分野を分離した財務情報
以下の表は、金融分野の財務情報、金融分野を除くソニー連結の財務情報、及びソニー連結の財務情報です。この情報は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこの情報を金融分野を除く業績の分析に用いており、このような表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。


要約貸借対照表
(単位:百万円)金融分野金融分野を除く
ソニー連結
ソニー連結
2013年度2014年度2013年度2014年度2013年度2014年度
資産
流動資産1,216,5171,288,6142,990,5872,911,6024,204,8864,197,901
現金・預金及び現金同等物240,332207,527806,134741,8861,046,466949,413
有価証券828,944933,4243,6223,307832,566936,731
受取手形及び売掛金(貸倒・返品引当金控除後)7,6187,266864,178893,847871,040899,902
その他139,623140,3971,316,6531,272,5621,454,8141,411,855
繰延映画製作費--275,799305,232275,799305,232
投資及び貸付金7,567,2428,217,715381,076395,1897,919,0118,531,353
金融ビジネスへの投資(取得原価)--111,476111,476--
有形固定資産17,05717,305732,953720,694750,010739,285
その他の資産547,100566,2161,640,3851,497,8052,184,0142,060,560
繰延保険契約費497,772520,571--497,772520,571
その他49,32845,6451,640,3851,497,8051,686,2421,539,989
9,347,91610,089,8506,132,2765,941,99815,333,72015,834,331
負債及び資本
流動負債2,071,6702,078,4142,714,1632,669,4754,783,6144,745,590
短期借入金6,1486,351371,606215,175377,754221,525
支払手形及び買掛金--712,829622,215712,829622,215
銀行ビジネスにおける顧客預金1,890,0231,872,965--1,890,0231,872,965
その他175,499199,0981,629,7281,832,0851,803,0082,028,885
固定負債6,195,2436,762,3101,600,3841,424,0287,762,8508,155,024
長期借入債務44,67844,460875,440671,104916,648712,087
未払退職・年金費用22,40424,534262,558274,220284,963298,753
保険契約債務その他5,848,0446,381,886--5,848,0446,381,886
その他280,117311,430462,386478,704713,195762,298
償還可能非支配持分--4,1155,2484,1155,248
金融分野の株主に帰属する資本1,079,7401,247,840----
金融分野を除くソニー連結の株主に帰属する資本--1,722,7431,733,233--
当社株主に帰属する資本----2,258,1372,317,077
非支配持分1,2631,28690,871110,014525,004611,392
9,347,91610,089,8506,132,2765,941,99815,333,72015,834,331

投資有価証券
売却可能証券及び満期保有目的証券に区分されるものの未実現評価損益は次のとおりです。

項目2015年3月31日現在(単位:百万円)
取得原価未実現
評価益
未実現
評価損
公正価値
金融ビジネス:
売却可能証券
負債証券
ソニー生命994,629152,019△1091,146,539
ソニー銀行698,82217,329△1,028715,123
その他38,60991△938,691
持分証券
ソニー生命13,70116,458-30,159
ソニー銀行----
その他7301,819-2,549
満期保有目的証券
負債証券
ソニー生命4,891,826826,535△1035,718,258
ソニー銀行8,285348-8,633
その他69,1848,991-78,175
6,715,7861,023,590△1,2497,738,127
金融ビジネスを除くその他のビジネス:
売却可能証券62,684109,154△751171,087
満期保有目的証券----
62,684109,154△751171,087
連結合計6,778,4701,132,744△2,0007,909,214

2015年3月31日現在、ソニー生命が保有する負債証券の未実現評価損の総額は2億円でした。ソニー生命は、原則として、国内外の公社債に投資しており、その多くはStandard & Poor's Ratings Services(以下「S&P」)、Moody's Investors Service(以下「ムーディーズ」)等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
2015年3月31日現在、ソニー銀行が保有する負債証券の未実現評価損の総額は10億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある有価証券に関するものは6.2%です。ソニー銀行は、原則として、日本の国債、社債及び外国債券に投資しており、その多くはS&P、ムーディーズ等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
これらの未実現評価損は多数の有価証券から構成されており、個々の有価証券の未実現評価損に金額的な重要性はありません。さらに、個々の公正価値の下落金額及び下落率とも僅少であり、公正価値の下落は一時的であると判定されていることから、これらの未実現評価損を認識した有価証券の中に、減損の基準に合致したものはありません。
2015年3月31日現在、ソニー生命が保有する償還期日を有する有価証券のうち、未実現評価損(2億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。

1年以内 100.0%
1年超5年以内 -
5年超10年以内 -
10年超 -

2015年3月31日現在、ソニー銀行が保有する償還期日を有する有価証券のうち、未実現評価損(10億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。

1年以内 41.9%
1年超5年以内 43.4%
5年超10年以内 7.4%
10年超 7.3%

2013年度及び2014年度において、ソニー生命が計上した売却可能証券の実現利益(純額)は、それぞれ4億円及び93億円です。
ソニーは通常の事業において、多くの非公開会社の株式を長期の投資有価証券として保有し、これらは投資有価証券その他に含まれています。2015年3月31日におけるこれらの非公開会社に対する投資の簿価合計は650億円です。非上場会社の持分証券は公正価値が容易に算定できない場合、主に取得原価で計上されています。非上場会社に対する投資の価値が下落したと評価され、その下落が一時的でないと判断される場合は直ちに減損を認識し、公正価値まで評価減を行います。
2013年度及び2014年度において実現した減損は、総額でそれぞれ18億円及び9億円計上されました。このうち、2013年度及び2014年度において、それぞれ2億円及び1億円が、金融分野の子会社により金融ビジネス収入として計上されています。金融分野の子会社以外の実現した減損額は、主として金融分野以外の戦略投資に関するもので、その他の費用として計上されています。この戦略投資は、主にソニーが新技術の開発及びマーケティングのために戦略的関係を有する日本及び米国所在の企業に関するものです。これらの減損の計上は、過去2年間において、これら新技術の開発及び販売に成功しなかったため、これらの企業の業績が以前の見通しより悪化したことにより、これらの企業の公正価値の下落が一時的でないと判断されたことにもとづくものです。個々の減損につき、金額的に重要性のあるものはありません。
有価証券の減損が生じたと判断された場合には、その公正価値にもとづく価額まで評価減を行います。活発な市場における取引価格が入手可能な有価証券の公正価値は、減損の判断が行われた時点での未調整の取引価格にもとづき測定されます。前述以外の有価証券の公正価値は通常、類似特性を持った有価証券の取引価格にもとづき測定され、もしくは、価格決定モデル、割引キャッシュ・フロー法、又は市場参加者が価格決定に使用するであろう前提に関するマネジメントの重要な判断もしくは見積りを必要とする類似評価手法を用いて算定されます。過去2年間において計上された減損は、個々の有価証券に固有な要因及び状況によるもので、他の有価証券に対して重要な影響を与えるものではありません。
金融分野の投資額は主にソニー生命とソニー銀行により構成されています。2015年3月31日現在、ソニー生命、ソニー銀行の投資額はそれぞれ金融分野全体の投資額の約89%及び約9%を占めています。


借入債務、オペレーティング・リースによる最低賃借料、契約債務及び偶発債務
2015年3月31日現在におけるソニーの既発債務及び契約債務は以下のとおりです。(「注記」は、連結財務諸表注記)

項目期限別支払額(単位:百万円)
合計1年未満1年以上
3年未満
3年以上
5年未満
5年以上
既発債務及び契約債務
短期借入債務(注記12)62,00862,008---
長期借入債務(注記9、12)
キャピタル・リース債務66,88037,41317,9878,0743,406
その他長期借入債務804,724122,104313,041345,57324,006
その他長期借入債務に係る利息26,5788,04811,1484,6462,736
オペレーティング・リース取引による最低賃借料(注記9)286,46460,08278,82938,908108,645
契約債務(注記28)
映画作品及びテレビ番組の製作又は配給権購入のための予定支払額126,92558,95459,8578,114-
音楽アーティストならびに音楽ソフトやビデオの制作・販売会社との長期契約63,47924,81621,7688,3148,581
広告宣伝の権利に関する長期スポンサーシップ契約26,7797,15917,0202,050550
その他の契約債務172,158116,17635,71115,6084,663
生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定(注記11) *17,642,136406,494910,080987,70315,337,859
総未認識税務ベネフィット(注記22) **157,3451,414---
合計19,435,476904,6681,465,4411,418,99015,490,446

* 生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定の期限別支払額は、保険契約者等に対する将来の予測支払額です。これらの支払額は罹患率、死亡率及び契約脱退率等の予測にもとづいて算定されています。上記の金額は割引現在価値ではありません。上記の合計金額の17兆6,421億円は、主として金銭の時間的価値の違いにより、連結貸借対照表の計上額である6兆3,387億円より大きくなっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11 保険関連科目』参照)
** 総未認識税務ベネフィットの合計額は、未認識税務ベネフィットに関する会計基準にもとづく総未認識税務ベネフィットに関する負債を示しています。ソニーは、この負債のうち14億円は、1年以内に解決する
と予想しています。それ以外の残高の1,559億円については、様々な税務当局との合意の時期の不確実性により、その解決時期を合理的に見積もることはできません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照)

以下の項目は、上記の表及び下記の2015年3月31日現在における契約債務の総額には含まれていません。
• 将来における年金支払の合計額については、現時点では確定できないため、含まれていません。なお、ソニーは2015年度において、給付建年金制度に対して日本国内制度で約120億円、海外制度で約50億円を拠出する予定です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『16 年金及び退職金制度』参照)
• 金融子会社が提供する、顧客に対する貸付契約にもとづく貸付の未実行残高は、現時点では顧客による借入金額を予測できないため、上記の表には含まれていません。なお、2015年3月31日現在、これらの貸付未実行残高は約254億円です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 契約債務、偶発債務及びその他』参照)
• 特定の部品組立業者及び生産受託業者からの購入は、ソニーにおける製造のための供給の継続及び最善の価格を達成するために通常の業務過程に組み込まれており、典型的な拘束力を有する購入義務ではないことから含まれていません。購入義務は、ソニーに対して法的拘束力を有する、物品あるいはサービスの購入に関する契約義務として定義されます。これらの義務には購入数量や価格、取引時期に関する条項など、重要な条項が含まれますが、違約金の支払をともなわずに解約できる契約は含まれません。購入には、ソニーが特定の部品組立業者との間で締結している、これらの部品組立業者のために部品を含む物品を調達し、関連する再購入の際に支払から控除する契約が含まれます。これにより、在庫リスクを最小化する、ソニーのフレキシブルなサプライチェーン・マネジメントと、これらの会社との間における相互に利点のある調達関係の実現が可能となります。業界の慣行にしたがい、ソニーが提供する需要予測や生産計画にもとづき、部品組立業者から技術的基準を満たす部品の購入を行っています。

ソニーはこれらの資金需要のために、保有資金やそれぞれのビジネスの営業活動から得た資金を充当し、可能であればグループ内資金融通を行った上、必要があればCPプログラム、社債発行や銀行のクレジットラインにもとづき資金を調達します。

訴訟及び製品保証を含む保証債務については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 契約債務、偶発債務及びその他』をご参照ください。

オフバランス取引
ソニーは流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。
これらの取引は、ソニーが売掛債権に対する支配を放棄したことから、金融資産の譲渡に関する会計基準にもとづき売却として会計処理されます。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『7 金融資産の移転』参照)また、一部の売掛債権売却プログラムには変動持分事業体(以下「VIE」)が関与していますが、ソニーは第一受益者ではないためこれらのVIEを連結対象とはしていません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『24 変動持分事業体』参照)
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フロー:2014年度において営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比905億円(13.6%)増加し、7,546億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、3,037億円の受取超過となり、前年度比464億円(18.1%)の受取の増加となりました。これは主に、非資金調整項目(有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費、その他の営業損、繰延税額、ならびに持分法による投資損失)を加味した後の当期純利益が、前年度に比べ改善したことによるものです。加えて、前年度に比べ、棚卸資産の減少額が拡大したこと、受取手形及び売掛金が増加から減少へ転じたことなどのキャッシュ・フローを改善させる要因がありました。一方で、支払手形及び買掛金が増加から減少に転じたことなどのキャッシュ・フローを悪化させる要因もありました。
金融分野では4,597億円の受取超過となり、前年度比462億円(11.2%)の増加となりました。この増加は、主にソニー生命における保有契約高の拡大にともなう保険料収入の増加によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フロー:2014年度において投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比709億円(10.0%)減少し、6,396億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、1,036億円の支払超過となり、前年度比94億円(9.9%)の支払の増加となりました。これは、主に固定資産や投資有価証券の売却にともなう収入が前年度に比べ減少したことによるものです。2014年度の固定資産や投資有価証券の売却には、ソニー㈱本社の土地のソニー生命への売却(この取引はセグメント間取引)、御殿山テクノロジーセンターの土地及び建物の一部売却ならびに㈱スクウェア・エニックス・ホールディングスの株式の売却が含まれます。
金融分野では5,369億円の支払超過となり、前年度比793億円(12.9%)の支払の減少となりました。この減少は、主にソニー生命における投資及び貸付が前年度に比べて減少したことに加え、投資有価証券の売却にともなう収入が前年度に比べて増加したことによるものです。一方で、ソニー生命によるソニー㈱本社の土地の購入(この取引はセグメント間取引)といったキャッシュ・フローを悪化させる要因もありました。この取引は連結財務諸表では相殺消去されます。
金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの2014年度における受取超過の合計*は、前年度比371億円(22.8%)増加し、2,000億円の受取超過となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロー:2014年度において財務活動による現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度の2,079億円の受取超過に対し、2,632億円の支払超過となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、3,154億円の支払超過となり、前年度比2,752億円(683.9%)の支払の増加となりました。これは、主に前年度に個人向け普通社債の発行を行ったことに加え、2014年度において、前年度に比べ長期借入の返済額(純額)が増加したことによるものです。
金融分野では444億円の受取超過となり、前年度比1,971億円(81.6%)の受取の減少となりました。これは、主にソニー生命における顧客預り金の増加幅が前年度に比べて縮小したことによるものです。

現金・預金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2015年3月末の現金・預金及び現金同等物期末残高は9,494億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の2015年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2014年3月末に比べ642億円(8.0%)減少し、7,419億円となりました。2014年12月末比では990億円(15.4%)の増加となりました。ソニーは各子会社に資金余剰、もしくは資金不足が生じた場合にはSGTSを通じてグローバルに資金の貸し借りを行うことでグループ内の資金を有効活用するシステムを整えています。一部の地域において資金の移動が現地の法律により制限されることはありますが、影響を受ける金額は軽微と考えています。(「第2 事業の状況」『7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』の『(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析』の“キャッシュ・マネジメント”を参照)なお、ソニーではこの他に円換算で総額7,766億円の未使用の金融機関とのコミットメントラインを保持しており、十分な流動性を継続的に確保していると考えています。金融分野の2015年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2014年3月末に比べ328億円(13.6%)減少し、2,075億円となりました。2014年12月末比では830億円(28.6%)の減少となりました。

* ソニーは、その経営指標として用いる「金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの合計」を開示情報に含めています。この情報は、金融分野を除く事業が流動性の保持、借入金の返済、及び配当金の支払いに必要な資金を確保できるかを評価するために重要な情報と考えています。この情報は金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報をもとに作成しています。これらのキャッシュ・フロー情報はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則で要求されているものではなく、また米国会計原則に則って作成されているものではありません。金融分野の大部分を構成する、日本で上場している金融持株会社のSFHと傘下の子会社は独自に流動性を確保しているため、金融分野のキャッシュ・フローはこの情報に含まれていません。この情報は他の企業の開示情報と比較できない可能性があります。また、この指標は負債返済に必要な元本返済支出の控除は行っておらず、裁量支出に使用可能な残余キャッシュ・フローを表しているものではないという限界があります。したがって、ソニーはこの情報を連結キャッシュ・フロー計算書に対する補足情報として、投資や利用可能な融資枠、及び流動性に関する情報とあわせて開示しており、連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。
連結キャッシュ・フロー計算書と「金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの合計」の差異の照合調整表は以下のとおりです。
科目2013年度
金額(億円)
2014年度
金額(億円)
連結キャッシュ・フロー計算書上の営業活動から得た
現金・預金及び現金同等物(純額)
6,6417,546
連結キャッシュ・フロー計算書上の投資活動に使用した
現金・預金及び現金同等物(純額)
△7,105△6,396
△4641,150
控除:金融分野における営業活動から得た
現金・預金及び現金同等物(純額)
4,1364,597
控除:金融分野における投資活動に使用した
現金・預金及び現金同等物(純額)
△6,162△5,369
消去 **6778
金融分野を除く営業活動及び投資活動から得た
連結キャッシュ・フローの合計
1,6292,000

** 消去は主にセグメント間の配当金の支払いです。

金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報(監査対象外)
以下の表は、金融分野のキャッシュ・フロー情報、金融分野を除くソニー連結のキャッシュ・フロー情報、及びソニー連結のキャッシュ・フロー情報です(監査対象外)。このキャッシュ・フロー情報は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこの情報を金融分野を除く業績の分析に用いており、このような表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。

要約キャッシュ・フロー計算書
金融分野金融分野を除く
ソニー連結
ソニー連結
2013年度2014年度2013年度2014年度2013年度2014年度
科目金額(百万円)金額(百万円)金額(百万円)金額(百万円)金額(百万円)金額(百万円)
営業活動から得た現金・預金
及び現金同等物(純額)
413,555459,719257,224303,659664,116754,640
投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)△616,223△536,920△94,279△103,630△710,502△639,636
財務活動から得た(財務活動に使用した)現金・預金及び現金同等物(純額)241,45044,396△40,236△315,415207,877△263,195
為替相場変動の現金・預金及び現金同等物に対する影響額--58,61451,13858,61451,138
現金・預金及び現金同等物純増加・減少(△)額38,782△32,805181,323△64,248220,105△97,053
現金・預金及び現金同等物
期首残高
201,550240,332624,811806,134826,3611,046,466
現金・預金及び現金同等物
期末残高
240,332207,527806,134741,8861,046,466949,413

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野については当該項目の最後に別途説明しています。

流動性マネジメントと資金の調達
ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全なバランスシートを維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金・預金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけており、連結月次売上高の50%及び半年以内に期限が到来する債務返済額の合計額を、十分にカバーできる流動性を通年にわたり維持することを基本方針としています。
流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フローの合計及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて金融・資本市場からの資金調達を行う能力も有しています。また金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及び金融機関とのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。
ソニーは、主として当社及びSGTSを通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。
当社及びSGTSは運転資金需要に対応するため、市場環境によって左右されることはありますが、日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なコマーシャルペーパー(以下「CP」)のプログラム枠を有しています。2014年度末時点で当社とSGTSは、円換算で合計8,605億円分のCPプログラム枠を保有していますが、2014年度は年間を通じてCPの発行実績はありません。
ソニーは通常は上記の普通社債、CPに加え、シンジケートローンを含めた銀行借入などの手段を通じて調達を行っています。市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2014年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で7,766億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる4,750億円の円貨コミットメントライン(2016年11月満期)、日本の銀行団と結んでいる1,500百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン(2018年12月満期)、外国の銀行団と結んでいる1,010百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン(2015年4月満期。2015年4月3日、金額を475百万米ドルに変更し、2016年3月満期に更新。)であり、全て当社及びSGTSが借入主体となっています。これらの目的は、金融・資本市場の混乱期においても機動的・安定的な資金調達を可能とし十分な流動性を確保することです。
グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。また、ほとんどの借入金に使途制限はありませんが、例外として一部に米国連邦準備制度理事会などの規制に従い、米国の証券取引所に上場されている有価証券や米国の店頭市場において取引されている有価証券の取得に関して使途制限があります。

格付け
ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。
ソニーは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うにあたり、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」)及びムーディーズ・ジャパン㈱(以下「ムーディーズ」)の2社より格付けを取得しています。また、日本国内の資本市場からの調達にあたっては、日本の格付会社である㈱格付投資情報センター及び㈱日本格付研究所からも格付けを取得しています。
またソニーは現時点において、引き続き金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持していると考えています。(将来の格付け低下によるリスクについては、「第2 事業の状況」『4 事業等のリスク』参照)

キャッシュ・マネジメント
ソニーはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、SGTSにより純額ベースで運用又は調達しています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合はSGTSに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合にはSGTSを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーはSGTSの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。

金融分野
SFH、ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行の各マネジメントは、業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しています。ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行は、法令(保険業法及び銀行法など)や金融庁及びその他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、それに準拠した社内規程を制定、運用しながら、十分な現預金等を準備し、支払能力を確保することに努めています。ソニー生命及びソニー損保は、受取保険料を主な資金の源泉とし、有価証券を中心とした投資を行うにあたり、保険金等の円滑な支払等に十分な水準の流動性を確保しています。ソニー銀行は、顧客からの円貨・外貨建て預金を主な資金の源泉とし、住宅ローンを中心とする貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。外貨建て顧客預金で得られた資金は、同じ通貨建の金融商品に投資されています。
なお、金融分野の子会社は、保険業務、銀行業務の公共性から、その信用を維持し、契約者や預金者の保護を確保することが保険業法、銀行法で定められております。したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されており、金融分野の子会社は、上記のSGTSを介したグローバルなキャッシュ・マネジメントからも隔離されています。

研究開発活動株式の総数等


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