有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004XKG
株式会社メガチップス 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2015年3月期)
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループの重要な判断と見積もりに大きな影響を及ぼすと考えられる特に重要な会計方針は以下のとおりであります。① 貸倒引当金
貸倒引当金に関して、過去の貸倒実績率により算定した額のほか、個別に債権の回収可能性を見積って計上いたします。② たな卸資産
たな卸資産に関して、正味売却価額が取得原価よりも下落した場合に評価の切り下げを行います。③ 有価証券
有価証券に関して、時価が著しく低下した場合には、当該有価証券は時価で連結貸借対照表に計上し、時価と簿価との差額はその期間の損失として認識いたします。適正な時価が容易に入手できない場合で、当該有価証券の実質価額が著しく低下している場合は、実質価額まで評価の切り下げを行います。④ 長期前払費用
長期前払費用に関して、回収見込額が取得価額よりも下落した場合に評価の切り下げを行います。⑤ 工事損失引当金
工事契約に関して、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合に、その超過すると見込まれる額を計上いたします。⑥ のれん
のれんに関して、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却いたします。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行います。(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、搭載機種の増加によりデジタルカメラ向けLSIの需要が増加したこと、事務機器向けLSI、通信向けLSI及び液晶パネル向けLSIの需要が堅調に推移したこと、新たに獲得したSmart Connectivity(DisplayPort)製品の需要が業績に寄与したこと、また、米ドル及び台湾ドルの為替レートが円安で推移したこと等により、642億3千7百万円(前年同期比9.9%増)となりました。② 売上原価・販売費及び一般管理費並びに営業利益
当連結会計年度の売上原価は、452億6千3百万円となりました。原価率は、前連結会計年度と比較して3.6ポイント好転の70.5%となり、売上総利益は189億7千4百万円(前年同期比25.5%増)となりました。販売費及び一般管理費は、中長期の事業拡大を目指し、積極的な先行投資を行った結果、140億7千8百万円となり、前連結会計年度と比較して31億3千1百万円増加いたしました。この主な内訳は、給料、賞与引当金繰入額等の人件費が47億6千3百万円(同39.8%増)、研究開発費が73億2千万円(同31.3%増)となっております。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は48億9千5百万円(同17.3%増)となりました。
③ 税金等調整前当期純利益
主に営業外費用として1億2千万円の借入手数料、1億2千万円の貸倒引当金繰入額、11億7千2百万円の為替差損を計上したことにより、営業外収益及び営業外費用の差引額は14億9千5百万円の費用となりました。また、主に特別損失としてインド支店のASICチーム閉鎖に伴う1億3千万円の特別退職金を計上したことにより、特別利益及び特別損失の差引額は1億6千8百万円の損失となりました。以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は32億3千1百万円(前年同期比26.8%減)となりました。
④ 当期純利益
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税の額が4億8千6百万円(前年同期比17.3%減)、法人税等調整額がプラス15億6千4百万円(前年同期はマイナス9億円)となった結果、当期純利益は12億5千1百万円(前年同期比73.5%減)となりました。(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。(4)経営戦略の現状と見通し
次期における電子機器業界の市場環境については、国内経済の回復や円安の継続などにより、電子部品の市場を中心に需要の拡大が期待されております。また、社会環境においてはネットワーク化が急速に進展しており、ますます高度な情報化社会の実現が予想され、さらには、地球環境維持を目的とした自然共生社会、低炭素社会、循環型社会の実現へ向けた取り組みは、継続されていくものと思われます。
このような状況の下、当社グループは、新たな方針のもと、これまでの基盤事業の体質を強化しつつ、積極的な先行投資を行った事業を狙いの成長軌道に乗せるべく、活動を進めてまいります。
「モバイル、ウェアラブル機器を含むIoT分野の特定用途向け(ASSP)製品を中心に、今後の成長が見込める機器向けのプラットフォームを構成する製品の拡充を図ること」、「成長機器市場における有力グローバル企業とのビジネス関係を更に拡大するため、そこで通用する人材を育成し、グローバル化を推進すること」、「営業利益率の向上と高成長・高収益体質への転換を図り、財務体質を強化すること」に重点を置いて、収益機会を拡大してまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財政状態
当連結会計年度末における総資産は778億3千万円(前連結会計年度末比329億6千3百万円の増加)となりました。資産別に見ると、流動資産は現金及び預金、受取手形及び売掛金、たな卸資産を中心に388億9千8百万円(同63億1千万円の増加)となりました。主な項目を前連結会計年度と比較すると、現金及び預金が27億7百万円、受取手形及び売掛金が21億5千6百万円それぞれ増加いたしました。固定資産はSmartConnectivity(DisplayPort)事業の譲受及びSiTime Corporationの買収等に伴い、のれんが194億9千8百万円、技術資産が69億7千9百万円それぞれ増加いたしました。
当社グループの資産構成を表すバランスシートの特徴は、その流動性の高さにあり、企業買収等に伴い固定資産が増加したものの、総資産の50.0%が流動資産であり、流動比率は133.3%となっております。この流動資産から、たな卸資産54億6千6百万円を控除した資産の額は334億3千2百万円となっており、連結総資産の42.3%を占めております。このような資産構成は、当社グループが資金を長期にわたり固定化する生産設備等の資産を持たないファブレスメーカーとして、事業を展開してきた結果であります。当社グループは、今後も高い流動性と健全な資産構成のバランスシートの維持に努めてまいります。
当連結会計年度末の負債合計は454億7千5百万円(同324億2千3百万円の増加)となりました。主な項目を前連結会計年度と比較すると、未払金が44億7百万円、繰延税金負債(固定)が28億5千6百万円、さらに、運転資金目的及びSiTime Corporationの買収に伴い有利子負債が228億6千8百万円それぞれ増加いたしました。負債の主な内容は、短期借入金117億1百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)154億1千6百万円、LSI製品の製造委託先からの仕入等に対する買掛債務52億1百万円となっております。
純資産は323億5千5百万円(同5億3千9百万円の増加)となりました。主な項目を前連結会計年度と比較すると、当期純利益が前年同期比73.5%減の12億5千1百万円となり、為替換算調整勘定が10億5千9百万円増加した一方で、自己株式が12億6千2百万円増加しております。この結果、当連結会計年度の自己資本比率は41.3%となりました。
② キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、57億5千2百万円の資金の獲得(前年同期は54億8千4百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が32億3千1百万円(前年同期比26.8%減)、減価償却費が8億4千8百万円、長期前払費用償却額が11億6千5百万円となり、たな卸資産が8億4千3百万円の減少となった一方で、売上債権が14億1千2百万円の増加となったことによるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローは、247億円の資金の使用(前年同期は24億1千1百万円の資金の使用)となりました。これは主に、子会社の運転資金目的の貸付け(子会社取得前)による支出が12億1千8百万円、長期前払費用の取得による支出が10億6千7百万円、SiTime Corporationの買収等により連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が195億1千万円、事業譲受による支出が11億5千7百万円あったことによるものであります。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、189億4千7百万円の資金の使用(前年同期は30億7千2百万円の資金の獲得)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、208億1千4百万円の資金の獲得(前年同期は36億2千3百万円の資金の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額が117億1百万円、長期借入れによる収入が140億円あった一方で、長期借入金の返済による支出が28億3千3百万円、自己株式の取得による支出が12億6千2百万円あったことによるものであります。
この結果、現金及び現金同等物は全体として前連結会計年度末より25億8千7百万円増加し、当連結会計年度末残高は130億2千8百万円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。
回次 | 第21期 | 第22期 | 第23期 | 第24期 | 第25期 |
決算年月 | 2011年3月 | 2012年3月 | 2013年3月 | 2014年3月 | 2015年3月 |
自己資本比率(%) | 87.2 | 85.4 | 62.6 | 70.9 | 41.3 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 122.2 | 134.6 | 79.5 | 64.8 | 43.0 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) | - | - | 105.0 | 77.5 | 471.4 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | - | 759.6 | 134.5 | 94.4 | 73.6 |
(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③ 資金需要
当社グループの運転資金については、当社グループの新技術・新製品の研究開発費、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものはLSI製品の製造委託費用であります。④ 財務政策
当社グループは、主に営業運転資金に充当するため、必要に応じて金融機関から資金を調達することとしております。当連結会計年度においては、運転資金の他、SiTime Corporationの買収資金として、金融機関から短期借入金として60億円、長期借入金として140億円、あわせて200億円の資金調達を行い充当いたしました。当連結会計年度末における金融機関からの借入金残高は総額271億1千8百万円となっております。
当社グループは、その健全な資産構成又は財務状況、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長に必要な資金を、保有する売掛債権の売却、銀行借入れ又は増資などにより、必要な時期に必要な金額を調達できるものと考えております。
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