有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007TYQ
三菱重工業株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループ(当社及び連結子会社)は、各ドメイン、技術統括本部(2016年4月1日以降は、技術戦略推進室、総合研究所及びICTソリューション本部をはじめとするコーポレート研究開発部門)間の密接な連携により、各製品の競争力強化や今後の事業拡大につながる研究開発を強力に推進している。
各セグメント別の主な研究開発の状況及び費用は次のとおりであり、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は総額で1,506億90百万円である。なお、この中には受託研究等の費用616億59百万円が含まれている。
(1) エネルギー・環境
エネルギーの安定的かつ効率的な供給や環境の保全を図り、また安全性を向上させる技術開発を推進し、天然ガス・原子力等のクリーン燃料及び再生エネルギーの利用技術、分散型電源システム、高効率発電システム等、エネルギー供給に係る市場ニーズに対応した付加価値の高い製品の研究開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・世界最大級の出力と世界最高水準の熱効率を誇り、低炭素社会の実現に資する「タービン入口温度1,600℃級J形ガスタービン」の更なる性能向上に向けた開発
・タービン入口温度を高く維持したまま燃焼器の空冷化を可能とする「次世代空冷システム」の実用化検証及び「空冷式1,650℃級ガスタービン」の要素技術の開発
・経済産業省主導のプロジェクトである次世代型「タービン入口温度1,700℃級ガスタービン」の要素技術の開発
・国内外で商用化が期待されている発電出力500~600MW級の「石炭ガス化複合発電(IGCC)プラント」の信頼性・経済性を更に向上させ、また、これまで利用されなかった高水分・高灰分の低品位炭を有効に活用する技術の開発
・固体酸化物形燃料電池とガスタービンを複合した次世代の高効率型発電システムである「燃料電池複合発電システム」の開発
・原子力プラントについての①安全性向上に関する技術の開発、②経済産業省公募プロジェクトへの参画による東京電力福島第一原子力発電所等の事故対応に関する技術の開発、③既設プラントの廃止措置に関する技術の開発
・地球温暖化防止を目指した石炭焚火力発電所用ボイラの排出ガスからCO2を回収する技術の開発
・世界最大級の可変速油圧ドライブを搭載した「7MW級大型洋上風車」の開発
・環境規制や熱効率向上に関する舶用機械・エンジンの複合製品群プロジェクト(MEET)における①次期NOx環境規制をクリアする低圧EGR(排気ガス再循環)システム搭載のエンジンの開発、②再熱蒸気タービンプラントとガスエンジンを複合させた次世代推進システム「STaGE」の開発、③低負荷域でのエンジン性能を改善する電動アシスト過給機の開発
・統合制御システム(EMS)、電力マネジメント、工場向けトータルエネルギーソリューション、製品稼働履歴の分析効率化・有効活用技術の開発(ビッグデータ分析技術の適用)
当セグメントに係る研究開発費は534億69百万円である。
(2) 交通・輸送
省エネルギー、環境負荷低減、信頼性、快適性に優れた、船舶、交通システム、民間航空機等の最先端の製品開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・新パナマ運河の川幅拡張に対応した、高い輸送効率と燃費性能を持つ次世代LNG運搬船「サヤリンゴSTaGE」の開発
・汎用部品の多用や内外装の簡素化により大幅なコスト低減を実現する新興国向け新交通システム車両の開発
・世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた次世代のリージョナルジェット旅客機「MRJ」の開発
・民間航空機に用いられる構造組立自動化、チタン合金の高速切削・熱間成形加工技術、レーザ非破壊検査技術等の革新的な製造技術の開発
・民間航空機用エンジンの国際競争力を維持向上するための、先進的なタービン設計技術の開発、高速レーザ穴あけ加工を始めとする低コスト生産技術及びセラミック基複合材や耐環境コーティングの先進材料技術の開発
当セグメントに係る研究開発費は265億75百万円である。
(3) 防衛・宇宙
日本のリーディングカンパニーとして、長年にわたり防衛・宇宙機器開発で培った技術を駆使して、最先端の製品開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・将来国産戦闘機の技術の獲得を目指し、従来飛行できなかった機動を含む高い運動性及びレーダに探知されにくい特性を兼ね備えた超音速小型航空機である先進技術実証機の試作
・海上配備型弾道ミサイル防衛(BMD)用の能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発
・H3ロケットのコスト低減・信頼性向上に資する制御技術及び製造技術の開発
・機雷の探知能力、類別能力等をもつ自律型の水中航走式機雷探知機の開発
・重要インフラの制御システム向け等のサイバーセキュリティ技術の開発
当セグメントに係る研究開発費は353億58百万円である。
(4) 機械・設備システム
鉄鋼、自動車、物流等の各産業向けの基礎設備及び社会インフラ等を提供するために、市場・需要の多様化に対応した製品固有の研究開発に取り組むとともに、個別製品の最新かつ高度な先進技術を各製品に幅広く適用する取組みを行っている。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・排ガスからの蒸気回収に加え、廃温水からも効率よく蒸気を回収するシステムを実現し、蒸気需要の多い産業用や地域冷暖房ユーザ向けに省エネ、省コスト、省CO2効果を増大させた全蒸気回収ガスエンジンコージェネレーションシステムの商品化
・分散型エネルギーシステムの普及拡大に向けて、世界最高クラスの発電効率(42%)、高総合効率化(81.5%)、低NOx化の実現により、イニシャルコスト削減を可能とした450kWガスエンジンコージェネレーションシステムの開発
・地球温暖化係数が極めて低いノンフロン冷媒(R1233zd(E))を採用した高効率ターボ冷凍機の開発
・高効率の三相モータ(IE3)を採用し、クラス最高(8馬力)のAPF(通年エネルギー消費効率)を達成した設備用空調機の開発
・内歯車加工において、従来の1/3以下の加工時間、2倍以上の工具寿命が実現可能な「スーパースカイビング盤」の開発
・新興国に対応可能な高速道路向け無線課金システムの開発
・扉数・扉位置が異なる車両に対応した改良型ホームドアの開発
当セグメントに係る研究開発費は260億32百万円である。
(5) その他・共通
当社次期製品の市場競争力確保のために必要となるキー技術や、次期・次世代の製品開発に必要かつ複数製品の共通基盤となるプラットフォーム技術開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・大規模数値解析技術によるタービン/圧縮機の全段解析などの先進流動解析技術の開発
・運転ノウハウとビッグデータ解析技術を組み合わせた遠隔監視・保守サービス技術開発
・設計/調達/生産等の情報伝達や分析にIoT/AI技術を活用したサプライチェーン管理強化技術開発
「その他・共通」に係る研究開発費は92億55百万円である。
各セグメント別の主な研究開発の状況及び費用は次のとおりであり、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は総額で1,506億90百万円である。なお、この中には受託研究等の費用616億59百万円が含まれている。
(1) エネルギー・環境
エネルギーの安定的かつ効率的な供給や環境の保全を図り、また安全性を向上させる技術開発を推進し、天然ガス・原子力等のクリーン燃料及び再生エネルギーの利用技術、分散型電源システム、高効率発電システム等、エネルギー供給に係る市場ニーズに対応した付加価値の高い製品の研究開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・世界最大級の出力と世界最高水準の熱効率を誇り、低炭素社会の実現に資する「タービン入口温度1,600℃級J形ガスタービン」の更なる性能向上に向けた開発
・タービン入口温度を高く維持したまま燃焼器の空冷化を可能とする「次世代空冷システム」の実用化検証及び「空冷式1,650℃級ガスタービン」の要素技術の開発
・経済産業省主導のプロジェクトである次世代型「タービン入口温度1,700℃級ガスタービン」の要素技術の開発
・国内外で商用化が期待されている発電出力500~600MW級の「石炭ガス化複合発電(IGCC)プラント」の信頼性・経済性を更に向上させ、また、これまで利用されなかった高水分・高灰分の低品位炭を有効に活用する技術の開発
・固体酸化物形燃料電池とガスタービンを複合した次世代の高効率型発電システムである「燃料電池複合発電システム」の開発
・原子力プラントについての①安全性向上に関する技術の開発、②経済産業省公募プロジェクトへの参画による東京電力福島第一原子力発電所等の事故対応に関する技術の開発、③既設プラントの廃止措置に関する技術の開発
・地球温暖化防止を目指した石炭焚火力発電所用ボイラの排出ガスからCO2を回収する技術の開発
・世界最大級の可変速油圧ドライブを搭載した「7MW級大型洋上風車」の開発
・環境規制や熱効率向上に関する舶用機械・エンジンの複合製品群プロジェクト(MEET)における①次期NOx環境規制をクリアする低圧EGR(排気ガス再循環)システム搭載のエンジンの開発、②再熱蒸気タービンプラントとガスエンジンを複合させた次世代推進システム「STaGE」の開発、③低負荷域でのエンジン性能を改善する電動アシスト過給機の開発
・統合制御システム(EMS)、電力マネジメント、工場向けトータルエネルギーソリューション、製品稼働履歴の分析効率化・有効活用技術の開発(ビッグデータ分析技術の適用)
当セグメントに係る研究開発費は534億69百万円である。
(2) 交通・輸送
省エネルギー、環境負荷低減、信頼性、快適性に優れた、船舶、交通システム、民間航空機等の最先端の製品開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・新パナマ運河の川幅拡張に対応した、高い輸送効率と燃費性能を持つ次世代LNG運搬船「サヤリンゴSTaGE」の開発
・汎用部品の多用や内外装の簡素化により大幅なコスト低減を実現する新興国向け新交通システム車両の開発
・世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた次世代のリージョナルジェット旅客機「MRJ」の開発
・民間航空機に用いられる構造組立自動化、チタン合金の高速切削・熱間成形加工技術、レーザ非破壊検査技術等の革新的な製造技術の開発
・民間航空機用エンジンの国際競争力を維持向上するための、先進的なタービン設計技術の開発、高速レーザ穴あけ加工を始めとする低コスト生産技術及びセラミック基複合材や耐環境コーティングの先進材料技術の開発
当セグメントに係る研究開発費は265億75百万円である。
(3) 防衛・宇宙
日本のリーディングカンパニーとして、長年にわたり防衛・宇宙機器開発で培った技術を駆使して、最先端の製品開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・将来国産戦闘機の技術の獲得を目指し、従来飛行できなかった機動を含む高い運動性及びレーダに探知されにくい特性を兼ね備えた超音速小型航空機である先進技術実証機の試作
・海上配備型弾道ミサイル防衛(BMD)用の能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発
・H3ロケットのコスト低減・信頼性向上に資する制御技術及び製造技術の開発
・機雷の探知能力、類別能力等をもつ自律型の水中航走式機雷探知機の開発
・重要インフラの制御システム向け等のサイバーセキュリティ技術の開発
当セグメントに係る研究開発費は353億58百万円である。
(4) 機械・設備システム
鉄鋼、自動車、物流等の各産業向けの基礎設備及び社会インフラ等を提供するために、市場・需要の多様化に対応した製品固有の研究開発に取り組むとともに、個別製品の最新かつ高度な先進技術を各製品に幅広く適用する取組みを行っている。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・排ガスからの蒸気回収に加え、廃温水からも効率よく蒸気を回収するシステムを実現し、蒸気需要の多い産業用や地域冷暖房ユーザ向けに省エネ、省コスト、省CO2効果を増大させた全蒸気回収ガスエンジンコージェネレーションシステムの商品化
・分散型エネルギーシステムの普及拡大に向けて、世界最高クラスの発電効率(42%)、高総合効率化(81.5%)、低NOx化の実現により、イニシャルコスト削減を可能とした450kWガスエンジンコージェネレーションシステムの開発
・地球温暖化係数が極めて低いノンフロン冷媒(R1233zd(E))を採用した高効率ターボ冷凍機の開発
・高効率の三相モータ(IE3)を採用し、クラス最高(8馬力)のAPF(通年エネルギー消費効率)を達成した設備用空調機の開発
・内歯車加工において、従来の1/3以下の加工時間、2倍以上の工具寿命が実現可能な「スーパースカイビング盤」の開発
・新興国に対応可能な高速道路向け無線課金システムの開発
・扉数・扉位置が異なる車両に対応した改良型ホームドアの開発
当セグメントに係る研究開発費は260億32百万円である。
(5) その他・共通
当社次期製品の市場競争力確保のために必要となるキー技術や、次期・次世代の製品開発に必要かつ複数製品の共通基盤となるプラットフォーム技術開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・大規模数値解析技術によるタービン/圧縮機の全段解析などの先進流動解析技術の開発
・運転ノウハウとビッグデータ解析技術を組み合わせた遠隔監視・保守サービス技術開発
・設計/調達/生産等の情報伝達や分析にIoT/AI技術を活用したサプライチェーン管理強化技術開発
「その他・共通」に係る研究開発費は92億55百万円である。
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