有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R38M (EDINETへの外部リンク)
スズキ株式会社 事業等のリスク (2023年3月期)
当社グループの経営成績及び財務状況、キャッシュ・フロー等に影響を与え、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事業等のリスクは以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
取締役会の下に、コーポレートガバナンス委員会を設置しています。コーポレートガバナンス委員会は、コンプライアンスの徹底やリスク管理に関する施策を展開し、また、関係部門との連携により組織横断的な課題への取組みを推進しています。
詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
(1) 取引先からの部品調達上の課題
当連結会計年度においては、取引先との連携強化及び設計変更による台当りの半導体使用数の削減等の取組みにより、前連結会計年度に比べ減産影響を縮小しました。しかし、半導体含む部品不足は依然継続しており、2024年3月期に入っても計画通りの生産が出来ない状況が続いています。この状況は2021年3月期から長期に渡り続いており、その間バックオーダーが増加してきました。
2024年3月期は生産が正常化に向かうよう、さらに取引先との連携を行ってまいります。しかしながら国内外で積みあがっているバックオーダーの解消には長期間かかる見通しであり、注文して頂いたお客様をお待たせしている問題を解決できておりません。
(2) 原材料・部品価格の上昇
当連結会計年度において、鋼材等原材料の価格は上昇しました。取引先から仕入れる部品の価格についても原材料やエネルギー等の値上がりを背景に上昇しました。その結果、前連結会計年度に対して939億円の減益影響がありました。さらに、2024年3月期においても、当連結会計年度に対して200億円の減益影響を見込んでいます。当社グループはコストアップに対し、原価低減や価格転嫁等により収益確保を図っていますが、まだ十分に克服てきていない状況です。
(3) 他社との競争激化
当社グループはインドの乗用車市場で50%以上のシェアを目標としています。当市場でのSUVの人気が高まる中、当社グループは当連結会計年度において新型ブレッツァ及びグランドビターラのSUV2モデルを投入しました。しかしながら、他社も相次いでSUVを投入したことにより、SUVセグメントのシェアは12.1%に留まり、その結果、乗用車全体のシェアも41.3%に留まりました。
2024年3月期においては、フロンクス及びジムニー5ドアを新たに投入し、競争力強化を図ります。さらに、インド市場の成長を見据えた生産能力の増強を計画通り進めており、シェア50%に向けて取り組んでまいります。
(1) 事業に関するリスク
① 気候変動及び低炭素社会への移行
気候変動リスクは、日本及び世界各国で、社会面、規制を含む政治面での関心が高まっています。これらのリスクには、低炭素社会への移行リスク及び気候変動による物理リスクが含まれます。低炭素社会への移行リスクのうち、当社グループが特に重要度の高いリスクと認識しているものは、自動車のCO2・燃費規制の強化に伴う罰金発生や販売機会の逸失、規制遵守のための研究開発費用の負担増加等、及び炭素税等の導入・強化に伴う操業コストの増加等です。これらは、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、お客様の嗜好や投資家行動の変化による企業価値低下等の可能性があります。
気候変動の物理リスクには、平均気温の上昇に伴うエネルギーコストの増加等、及び水資源リスクの変化に伴うサプライチェーンの停滞や生産コストの増加等の長期的な気候変動による影響と、自然災害の頻発・激甚化に伴う事業拠点の被災や事業活動の停止等の突発的な気象変化による影響の両方が含まれます。当社グループはBCPを策定していますが、気候変動の物理的リスクは当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
② 新商品の開発・投入力
お客様のニーズや自動車を取り巻く環境の変化を的確に捉え、お客様に満足していただける魅力的な新商品を適時に開発して市場に投入することは、四輪車・二輪車・船外機メーカーにとって大変重要です。国内外における景気の低迷による需要の減少、環境性能への関心の高まり、先進技術搭載車の急速な普及等、急激に変化するお客様のニーズや自動車を取り巻く環境の変化を捉えることが従来にも増して重要になっています。また、新商品の投入は、お客様のニーズや自動車を取り巻く環境の変化を的確に捉えることだけでなく、具体的な商品の開発力、将来に向けた先進技術の開発力、さらには継続的に商品を生産する能力が必要になります。
さらに、当社グループがお客様のニーズや自動車を取り巻く環境の変化を的確に捉えることができても、技術力、部品の調達、生産能力、優秀な人材の確保、その他の要因により、対応した新商品を適時に開発することができない可能性があります。お客様のニーズや自動車を取り巻く環境の変化を的確に捉えた商品を適時に市場に投入することができない場合、販売シェアや売上の低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ コンプライアンス
当社グループでは役員及び従業員が健全に職務を遂行するための「スズキグループ行動指針」の制定、コーポレートガバナンス委員会の設置、業務に関連する法令等の遵守、承認・決裁手続、他部門による確認手続の定めを含む業務規程・マニュアル類の整備、コンプライアンス研修や個別の法令等の研修の実施、内部通報窓口(スズキグループ・リスクマネジメント・ホットライン)の設置など、法令等の遵守については違反の未然防止の対策並びにコンプライアンス案件に速やかに対応する体制を講じています。しかしながら、不測の事態により法令違反の事実や不十分な対応があった場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 人材確保及び人材育成
電動化技術、先進安全技術、デジタル技術の強化等の専門領域の人材を中心として、日本国内のみならずインドを含め、これまで以上に積極的な採用を行うとともに、採用後の人材育成にも力を入れています。
また、様々な個性や価値観を持つ従業員が個々の能力を十分に発揮できるよう、性別・年齢・国籍・人種・宗教等の多様性を尊重するとともに、分け隔てなく登用し、働きやすい職場環境の整備に努めています。併せて、人事制度の改革にも力を入れています。
しかし、労働市場のひっ迫、人材獲得競争の激化等により、人材の確保ができない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。同様に、人材の育成が不十分な場合や、従業員の多様性が尊重された職場環境が実現できない場合においても、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 取引先からの部品調達上の課題
技術力、品質、価格競争力などの要素により、部品によっては調達が特定の取引先に依存しているものがあります。また、当社グループが一次取引先を分散していたとしても、一次取引先が部品調達を二次以降の特定の取引先に依存しているものがあります。これらの部品について、市況、災害、経済安全保障の動向、人権侵害の発覚等により、継続的・安定的に確保できない場合、当社グループの生産に遅延や休止又はコストの増加を引き起こす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 品質保証
当社グループは、高品質な製品づくりを重要な経営課題の一つとしており、中期計画の中でも優先的な取組み事項の一つとしています。一方で、大規模なリコール等が起こった場合、多額のコストとして品質関連費用が発生することに加え、ブランドイメージの毀損等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ デジタル情報技術化の課題
当社グループでは、設計開発・生産・販売や会計など事業活動のあらゆる場面において、電子データの形で作成・処理・蓄積を行うとともに、必要に応じてシステムの更新・変更を行っています。また、製品においても様々な電子制御装置が搭載され、車両や搭載装備の制御を行っています。これらに対しては、安全対策が施されているものの、ハッカーやウィルスによるサイバー攻撃や、システムトラブル、電力停止などのインフラ障害などが発生する可能性があります。特に、サイバー攻撃は脅威を増しており、標的にされるおそれがあります。その結果、業務の中断や、データの破損・喪失、機密の漏洩が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 特定の事業及び市場への集中
当社グループは、当連結会計年度の業績において連結売上高の25%を国内四輪事業が、37%をインド四輪事業が占めています。そのため、これら2つの事業に関わる需要や市況、同業他社との競争等が予測し得る水準を超えた場合、当社グループの業績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 他社との提携
当社グループは、研究開発、生産、販売、金融等、国内外の自動車メーカーをはじめ、他社と様々な提携活動を行っていますが、提携先固有の事情等、当社グループの管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 情報の漏洩
当社グループは社内外の個人情報や、経営・業務・技術等に関する機密情報の漏洩を防止する体制を取っていますが、不測の事態により当該情報の流出・不正使用があった場合、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払義務などが発生することが考えられ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場に関するリスク
① 経済情勢の変化、市場の需要変動
長期間の景気低迷、世界経済の悪化や金融危機、お客様の購買意欲低下は、四輪車、二輪車、船外機等の当社グループ製品の需要の大幅な低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、世界各国において事業を展開しており、特に、アジア地域の新興国を中心とした海外生産工場への依存度も年々高まってきています。これらの市場での経済情勢の急変などの不測の事態は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、各国の税制や金融政策などの予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性もあります。
② 他社との競争激化
当社グループは、事業を展開する世界各国の市場において他社との競争にさらされています。世界の四輪車・二輪車・船外機産業の国際化及び異業種参入が今後ますます進展することによって、競争はより一層激化する可能性があります。他社との競争は、製品の品質、安全性、価格、環境性能等のほか、製品の開発・生産体制の効率性や販売・サービス体制の整備、販売金融など様々な項目が挙げられます。
当社グループは、競争力の維持・向上のための施策に取り組んでまいりますが、将来において優位に競争することができないことにより、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 金融・経済のリスク
① 為替及び金利の変動
当社グループは、日本から世界各国へ四輪車、二輪車、船外機並びにそれらの部品などを輸出するとともに、海外の生産拠点からも、それらの製品や部品を複数の国々へ輸出しています。現在では連結売上高に占める海外売上高の割合は約7割にのぼっています。特に、新興国を中心とした海外生産工場への依存度が高く、為替変動に左右されやすく、また、資金の多くを低金利が続く日本で調達していることから、金利変動にも左右されやすい構造にあります。当社グループは、為替及び金利変動リスクの軽減を図るため、為替予約等のヘッジや、生産拠点を分散してグローバルに最適化を図るなどの対策を行っています。しかし、全てのリスクをヘッジすることは不可能であり、為替及び金利の変動は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 原材料・部品価格の変動
原材料及び部品の購入価格の上昇は、製品コストの上昇につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 政治・規制・法的手続・災害等に関するリスク
① 政府規制等
排出ガス、燃費、騒音、安全性及び製造工場からの汚染物質排出レベルに関して、四輪車、二輪車及び船外機業界は、様々な法規制の適用を受けています。これらの規制は強化される可能性があります。
また、当社グループは、消費者保護規制、労働規制、独占禁止法令などの内外の広範な法規制の適用を受けております。
これらの規制の改正により費用負担が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産の保護
当社グループは、他社製品との区別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を蓄積しており、その保護の対策を講じるとともに、第三者の知的財産権侵害防止の対策を講じています。しかしながら、当社グループの知的財産が不法に侵害され、あるいは第三者から知的財産侵害の指摘を受け訴訟、製造販売の中止、損害賠償等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的手続
当社グループは、訴訟、関連法規に基づく様々な調査、法的手続を受ける可能性があります。現在係争中、又は将来の法的手続で不利な判断がなされた場合、当社グループの事業、業績に悪影響を与える可能性があります。
④ 世界各国での事業展開
当社グループは、世界各国において事業を展開しており、また、いくつかの国においては、その国の法律上又はその他の要件に従い、現地企業との間で合弁による事業を行っています。これらの事業は、各国の様々な法律上その他の規制(課税、関税、海外投資及び資金の本国送金に関するものを含みます。)を受けています。これらの規制、又は合弁相手の経営方針、経営環境などに変化があった場合は、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
また、多くの政府は、関税の賦課や、価格管理規制及び為替管理規制を定めています。当社グループは、これらの規制を遵守するために費用を負担してきており、今後も負担することになると予想しています。新たな法律の制定又は既存の法律の変更によっても、当社グループが更なる費用を負担する可能性があります。さらに、各国の税制や景気対策等の予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 自然災害・疫病(発生・まん延)・戦争・テロ・ストライキ等の影響
日本では、地震、台風、洪水などの自然災害や原子力発電所の予期せぬ事故など様々なリスクにさらされています。特に、当社の本社をはじめとする主要施設や研究開発拠点、主要生産拠点は周期的な巨大地震が発生する可能性が高い静岡県に集中しています。当社グループでは、東海地震・東南海地震などの自然災害による被害の影響を最小限に抑えるべく、建物・設備等の耐震対策、防火対策、事業継続計画の策定、地震保険への加入等、様々な対策を講じていますが、災害等の規模がその想定を超える場合には業績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
海外においても、当社グループは世界各国において事業を展開しており、海外での事業展開に関連する様々なリスクにさらされています。
これら国内外のリスクには自然災害、疫病の発生・まん延、戦争、テロ、ストライキ、さらには政治的・社会的な不安定性や困難に起因するもの等があります。これらの予期せぬ事象が発生すると、原材料や部品の調達、生産、販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、長引くようであれば、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、足元では収束に向かいつつあるものの、再拡大した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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