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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R3OA (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 富士通株式会社 事業等のリスク (2023年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

[方針・推進体制]
当社グループは、事業継続性、企業価値の向上、企業活動の持続的発展を実現することを目標とし、その実現に影響を及ぼす不確実性をリスクと捉え、これらのリスクに対処するために、取締役会が決定した「内部統制体制の整備に関する基本方針」に基づき、取締役会に直属し、グループ全体のリスクマネジメント及びコンプライアンスを統括する「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。リスク・コンプライアンス委員会は、代表取締役社長(CEO)を委員長として業務執行取締役等で構成しており、当社グループに損失を与えるリスクを常に評価、検証し、認識された事業遂行上のリスクについて、未然防止策の策定等リスクコントロールを行うとともに、リスクの顕在化により発生する損失を最小限に留めるため、顕在化したリスクを定期的に分析し、取締役会等へ報告を行い、再発防止に努めております。

内部統制体制におけるリスク・コンプライアンス委員会の位置づけ
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また、リスク・コンプライアンス委員会は、グローバルな地域に基づく業務執行体制の区分であるリージョンごとに、下部委員会としてリージョンリスク・コンプライアンス委員会を設置し、国内外の部門やグループ会社、リージョンにリスク・コンプライアンス責任者を配置するとともに、これらの組織が相互に連携を図りながら、グループ全体でリスクマネジメント及びコンプライアンスを推進する体制を構築しております。

リスクマネジメント・コンプライアンス体制図
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さらに、グループ全体のリスク管理機能強化のため、事業部門から独立した代表取締役社長直下の組織である全社リスクマネジメント室にリスク・コンプライアンス委員会事務局機能を設置し、CRMO(Chief Risk Management Officer)の下、リスク情報全般の把握と迅速かつ適切な対応を行っております。

これまでの取り組みを踏まえ、さらなる施策強化と実効性の担保を図るためには、これまで以上に経営者主導による全社的、組織横断的な対応が必須であると考え、当社グループ全体の品質責任者として最高品質責任者(Chief Quality Officer:CQO)を新たに任命することといたしました。さらに、CEOが委員長を務める当社リスク・コンプライアンス委員会の体制・機能を拡充し、恒常的・全社的な対応を実現する体制に強化いたします。
具体的には、これまで当社グループに関する重要なリスク・コンプライアンスについての審議の場であった同委員会のメンバーに新たに任命したCQOを加えるとともに、情報セキュリティ、システム品質に関する全社的な施策および個別事象への対応も含め、具体策まで踏み込んで決定し、迅速に実行する体制といたします。こうした体制を構築することで、CISO・CQOに対してこれまで以上に強化した権限を付与し、人事制度や投資リソース等その他の各CxOの領域を含む全体を統括する、CEO主導によるリスクマネジメント経営を徹底してまいります。また、施策実行の迅速性と実効性を担保するため、同委員会を毎月開催することといたします。

[潜在リスクマネジメントプロセス]
当社グループを取り巻くさまざまなリスクから、事業活動に伴う重要リスクの抽出・見直しをしたうえで、毎年、重要リスクの発生可能性・影響度・対策状況等について調査・分析・評価し、可視化を行っております。
評価結果を基に、リスク・コンプライアンス委員会において重要リスクを確認し、更なる対策等を指示するとともに、取締役会に報告しております。リスク・コンプライアンス委員会が決定した方針、対策等をグループ全体にフィードバックし、重要リスクごとに定めたリスク管理部門がグループにおける対策等を適切に管理することでリスクの低減を図っております。
なお、潜在リスクマネジメントプロセスにおいて得られた情報は、ステークホルダーに開示する有価証券報告書やサステナビリティデータブック等に反映しております。

このようなプロセスを実施することにより、グループ全体のリスクの低減と顕在化した際の影響の極小化を図っております。

リスクマネジメントプロセス
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本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日(2023年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。また、各リスクにおける対策の実施にもかかわらず、全てのリスクの発生を未然に防止できない可能性があります。

Ⅰ.経営方針・経営戦略等との関連性
当社グループは経営目標の達成に向けて「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載された様々な施策を進めてまいりますが、これらの施策に直接影響を与える可能性のある主なリスクとその対策は、以下の(1)~(6)、(8)、(11)、(13)において、経営方針・経営戦略との関連性も考慮して記述しております。

Ⅱ.当社グループの事業活動におけるリスク
(1)経済や金融市場の動向に関するリスク
①主要市場における景気動向
[リスクの概要と影響]
当社グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関や企業等に、ICT分野において各種サービスを提供しております。また、事業ブランドであるUvanceビジネスは、グローバル共通の戦略として展開しております。これらの事業の売上及び損益は、景気動向及び各市場における急激な需給バランスの変化に大きく左右されます。特に、主要市場である、日本、欧州、北米、オセアニア、中国を含むアジアにおける景気動向及び急激な需給バランスの変化は、当社グループの事業に影響を与えます。
[対策]
急激な市場の変化に対応するため、グループ全体の戦略や事業ポートフォリオの方針を明確化するとともに継続的な構造改革を行うことで、リスクの低減を図っております。

②為替動向と金利変動及び資本市場の動向
[リスクの概要と影響]
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのため、急激な為替変動は、海外に輸出提供する製品・サービスの価格競争力の低下や、海外からの部材等の輸入に影響を及ぼす可能性があり、海外ビジネスの売上及び損益に大きく影響します。海外に保有する資産・負債等についても、資産等が目減り、または負債等が増大する可能性があります。
さらに、有利子負債の中には金利変動の影響を受けるものが含まれているため、金利上昇により支払利息や調達コストが増加する可能性があります。
また、国内外の株式市場の動向は、保有する他社株式の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼし、株式市場が低迷した場合、保有株式の評価減や、年金資産の目減りによる会社負担増大のおそれがあります。
[対策]
為替変動等の金融市場環境に関する情報収集や動向注視、金融機関動向の分析等を行いながら必要に応じて為替予約等のヘッジを実施しております。また、グループ全体に情報共有を行うとともに、影響の最小化を図っております。

(2)お客様に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループのビジネスは、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事業、金融業、製造業、流通業、ヘルスケア産業等のお客様との取引割合が高く、また、海外ビジネスにおいては、各国における政府系のプロジェクトが重要な事業となっております。お客様の政策・方針や、業界の経営環境、市況変化、業界再編の動き等は、お客様のICT投資動向の変化につながり、お客様のICT投資計画やその見直し及びお客様の製品・サービスの売れ行き等は、当社グループの製品・サービスの需要や価格に大きな影響があります。また、お客様との信頼関係や、取引または契約関係が継続できない場合、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
また、新型コロナウイルス感染症は、世界中の様々な業種のお客様に大きな影響を及ぼしており、これによりお客様の投資が抑制される一方で、テレワークやオンライン教育等の新たなICT関連需要が生じております。このような環境変化は、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、社会的な課題解決を念頭に置いた事業活動を行うとともに、市場動向、技術動向、お客様の状況の変化を注視しており、お客様のかけがえのないパートナーとなり、ICTのライフサイクルにわたるソリューションを提供し、長期的な信頼関係を築くことを目指しております。当社グループは、お客様を取り巻く環境変化に対して多様な業種への実績、理解とデジタルテクノロジーを活用し、人とデータを中心とした新たな生活様式を築いていく役割を果たしております。

(3)競合・業界に関するリスク
[リスクの概要と影響]
市況の変化や競争激化、技術革新等は、製品・サービスの価格下落につながる可能性があります。そのため、想定を上回る価格下落が生じた場合や、調達価格が大幅に変動した場合等には、十分なコストダウンや販売拡大を実現できず、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
また、ICT業界では、既存の競合他社に加え、異業種を含めた新規参入者との競争も激しくなっています。現在、競争優位性を持っている分野においても、新規参入業者を含めた競合他社との競争に晒され、将来の事業において優位性を確保できない可能性があります。ICT業界では技術の進歩が大変速く、新製品や新技術であっても急速に陳腐化します。これらの技術開発競争で他社に優位性を奪われた場合、シェアや利益率が低下し、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、技術の進歩や競争激化等による製品・サービスの低価格化を想定し、社会動向に基づいた課題を洞察するとともにお客様のニーズや他社状況を把握し、競争力のある製品・サービスのラインナップを拡充することで販売拡大に努めるとともに、コストダウンに取り組んでおります。
また、競争力維持のためには、先端技術の研究開発を続けることが必要です。当社グループは適切な研究開発への投資を実行することで、当社グループ事業の強み、競合他社等との差異を明確にし、技術やサービスの優位性を確保するよう、努めております。

(4)投資判断・事業再編に関するリスク
[リスクの概要と影響]
ICT業界においては、競争力維持のために多額の研究開発投資、設備投資及び事業買収・売却、事業再編等が必要な場合があります。
当社グループが有望と考えた市場や技術、買収先が想定ほど成長しない場合や、需給悪化や価格下落が予想以上に早く発生した場合には、投資から十分なリターンを得られず、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、投資や事業再編にあたり、市場動向やお客様のニーズ、当社グループの技術の優位性、買収先の業績、当社グループの事業ポートフォリオ等を勘案するとともに、投資効率を検証し、評価指標とプロセスを定め、所要変動に応じて投資を複数段階に分けることやお客様等と提携することで、リスクの低減を図っております。

(5)調達先・提携等に関するリスク
①調達に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループが提供する製品・サービスは最先端の技術を使用しており、汎用的ではない部品や希少性の高い原材料等を使用することがあります。そのため、一部の部品・原材料等については、安定的な調達が困難な場合や、代替の調達先を確保できない場合、大量に調達が必要な部品・原材料等について、必要な量を調達できない可能性があります。また、お取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等が発生した場合は、当社グループに対する部品・原材料等の安定的な提供が困難になります。さらに、世界中で発生する異常気象やそれに伴う災害、国際情勢の不安定化等、部品・原材料等の安定的な調達に影響を及ぼす事象は増加傾向にあるため、部品・原材料等を十分に確保できない場合、製品・サービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。
当社グループの調達部品等については、為替動向や需給逼迫等により調達価格が当初の見込みを上回り、製品・サービスの利益率の悪化や、値上げによる売上の減少が起きる可能性があります。
また、できる限り品質確保に努めておりますが、購入品の不良を完全に防げない場合には、納期遅延や製品不良が発生し、機会損失、修理回収費用、不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可能性があります。
[対策]
当社グループでは、部品単位での製造拠点・調達先対策状況調査や、調達のマルチソース化、お取引先への事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の働きかけ、支援の強化、及び適正な在庫の確保等をすることで、サプライチェーンの維持に努め、リスクの低減を図っております。

②提携・アライアンス・技術供与に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、グローバルなICTビジネス環境における競争力強化のため、業務提携、技術提携、合弁等の形で、多くの会社と共同で活動を行っておりますが、経営、財務、その他の要因により、協力関係を成立、または、継続できない場合や、これらの協力関係から十分な成果を得られない場合があります。当社グループの製品・サービスは、他社の許諾を受けて使用している多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としておりますが、これらの技術等について、今後、当社グループが許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾を受けられない場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、業務提携、技術提携、合弁等で他社との関係を構築する際、リスクを的確に認識・評価した上で契約条件等への反映を行うとともに、継続的なモニタリングを行うことで、当社グループへの影響を最小限に抑えるよう努めております。

(6)公的規制・政策・税務に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、グローバルにビジネスを展開しているため、各国・各地域の数々の公的規制、政策動向、税務法制、運用等の影響を受けます。事業展開する各国・各地域において、政府の政策、事業及び投資の許可、輸出入に関する制限等のさまざまな規制並びに、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、派遣・下請、租税等に関する法令の適用を受けております。
さらに、昨今の国際情勢は、各国・各地域の政策に影響を及ぼしており、特に、経済安全保障に基づく企業活動への規制が強化される傾向にあります。このような政策の変更や規制の強化は、当社グループが対象としている市場やサプライチェーン等に影響を及ぼし、対応コストの増加や仮に強化された規制等の違反が認定された場合の制裁金等の負担が発生する可能性があります。
また、当社グループがソリューションを提供する分野には、通信、医療、工事、個人情報の取扱い等、公的規制を受ける領域があるため、これらの市場における規制の動向が当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。
[対策]
当社グループでは、各省庁や業界団体等から情報収集し分析を行うことで、各国・各地域における規制や政策の動向を注視しております。また、経済安全保障分野においては、規制が厳しくなる方向であると捉えており、国内外の規制動向、さらには政府・企業の動向も注視し対策を実施しております。

(7)自然災害や突発的事象発生のリスク
①自然災害・感染症・火災等に関するリスク
[リスクの概要と影響]
近年、世界的な気候変動により、台風・水害・大雪等の自然災害の発生頻度や影響度は高まっております。また、首都直下・南海トラフ等における巨大地震、感染症のパンデミック、火山噴火等の不測の事態は、被害想定を超えた規模で発生する可能性があります。このような事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、部材メーカーからの部品供給の不足や遅れ、サプライチェーンへの被害等により、お客様へのサービス提供や製品出荷の停止等、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、防災に関する強固な連携体制の構築と事業継続対応能力強化を図るため、全社防災組織を編成し、様々な訓練を実施しております。また、過去の地震における対応を教訓として、事業所における耐震・浸水対策や定期点検の取り組みについても強化しております。さらに、地震や大規模な水害、火山の噴火等の自然災害、新型インフルエンザ等の感染症の流行、火災・爆発等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質な製品・サービスを安定的に供給するために、事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)を構築するとともに、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定や継続的な見直し及び改善を行っております。
また、新型コロナウイルス感染症の経験をふまえて、お客様、お取引先、従業員とその家族の安全確保を最優先とし、お客様への製品・サービスを継続して提供する体制を構築することにより重要な事業を維持し、社会的責任を遂行できるよう努めております。

②紛争・テロ・政情不安等に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、グローバルにビジネスを展開しているため、各国・各地域において、紛争・テロ・デモ・ストライキ・政情不安等が発生した場合、当社グループの事業に大きな影響を与える可能性があります。また、従業員等が巻き込まれ、安全が脅かされる可能性があります。
[対策]
各国・各地域におけるリスク情報の収集を行い、関係者間で共有するとともに、従業員の緊急連絡体制を構築し従業員の安全管理を行う等、情勢を見極めながら、ビジネスを継続するよう努めております。

(8)財務に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループに対して外部の格付け機関が発行する格付け(CSR・サステナビリティ関連の格付けを含む)は、資金調達や企業レピュテーションに大きな影響を及ぼすとともに、お客様やお取引先と取引する際の信用情報として使われることがあります。収益計画の未達や財務状況の悪化等の理由によりこれらの格付けが引き下げられた場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼすほか、入札等、取引参加において不利になる可能性があります。また、お取引先の経営悪化や経済情勢の悪化等の信用不安等は売掛債権の回収に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、資金調達に関する対策として、流動性の確保、資金調達計画の策定、金融市場動向の分析等を行っております。また、与信管理に関する対策として、与信管理関連部門による意見交換、及び外部機関の企業信用調査情報等の関連部門との共有と動向監視、債権保全に関するアドバイス・指示及び注意喚起の実施等を行い、リスクの低減を図っております。

(9)製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループでは、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、快適で安心できるネットワーク社会を支えるために、その維持・向上に日々たゆまず取り組んでおります。
システムの受託開発や製品・サービスの運用・保守業務、製品の設計・開発・製造において、お客様要求の高度化、システムの複雑化が進み、開発難度が高まり、製品の欠陥や瑕疵等が発生する可能性があります。また、競争の激化による価格低下により、納期遅延や不採算プロジェクトが発生する可能性があります。このような製品・サービスの欠陥、瑕疵等が発生した場合、製品回収や補修、システムリカバリー作業や、お客様への補償、機会損失等が当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
また、万一、欠陥や瑕疵等への対応における判断誤りや組織的な不正があった場合、企業レピュテーションは低下し、当社グループの損益への影響を拡大させる可能性があります。
[対策]
システムの受託開発では、品質管理の全社ルールを定め、ソフトウェアのモジュール化、開発の標準化、セキュリティ監査等による品質向上に努めております。また、お客様との契約のあり方を見直すとともに、ビジネスプロデューサー・SEのビジネスプロセスの標準化を進め、商談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロジェクトの発生を抑制しております。併せて損失の引当ても適時に実施しております。
製品・サービスの運用・保守業務では、安定稼動のため、お客様と協働での点検や品質、契約、ルール等を改善する活動を継続的に行っております。
製品の設計・開発・製造では、品質管理の全社ルールを定め、関連法規の遵守・最新基準への適合、品質の向上及び外部購入品の品質管理を進めております。
また、重大障害の抑止に向けて、全社的な品質保証体制強化のため、事業部門ごとの品質保証プロセスに加え、社長直轄組織による各プロセスの有効性の監視や、部門間での知見・ノウハウを共有する横断的な仕組みの導入・改善を進めております。

(10)コンプライアンスに関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、グローバルにビジネスを展開しており、国内外の関連法令・規制等を遵守する必要がありますが、これらの関連法令・規制等に抵触する事態が発生した場合、多額の課徴金や損害賠償を請求される可能性があります。昨今、欧州において人権に関するデューデリジェンスが義務化される等、人権尊重への取り組みが一層強く求められるように変化しており、当社グループはもとより、サプライチェーン上での労働環境や紛争鉱物等の人権に関するリスクを防止・低減できない場合、ビジネス機会の損失や、行政罰等により当社グループの社会的信用の失墜に繋がり、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、普及が進んでいるAI技術を利用したビジネスにおいて人権を侵害する事象が発生した場合、損害賠償等や当社グループの社会的な信用が低下する可能性があります。
[対策]
当社グループは、Fujitsu Wayにおいて、当社グループの従業員として厳守すべきことを行動規範(人権の尊重、法令遵守、公正な商取引等)として定めるとともに、これを詳細化して個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS:Global Business Standards)をグループで統一的に運用し、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成を図っております。また、そのための社内体制や仕組みの構築を推進するため、経営層からのトップメッセージの発信や定期的なe-Learningの実施等を行っております。「人権の尊重」においては、2021年度以降、グループの全従業員向けに「ビジネスと人権」に関するe-Learningを実施し、2022年度においては、人権デューデリジェンスのプロセスである人権影響評価を実施いたしました。最新の国際動向をふまえて、人権に関するリスクを整理し、重要性・事業関連性から優先課題を特定し、この評価を基に、当社グループの人権方針を改定し、当社グループやサプライヤーへの周知を行っております。
また、AIビジネスにおいては、AIへの「信頼」の維持・確保のために、当社グループのAI倫理指針である「富士通グループAIコミットメント」に基づき実践的なAI倫理ガバナンス体制を構築しております。

(11)知的財産に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループでは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積しておりますが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的な制約のために知的財産としての十分な保護が受けられない場合があります。そのため、他社が当社グループの知的財産を使って類似製品等を製造、販売することを効果的に防止できない可能性があります。他社が類似、またはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的財産の価値が低下することがあります。また、当社グループの製品・サービスや技術について、他社の知的財産を侵害している、あるいはオープンソースソフトウェアを含む第三者のソフトウェアの利用形態が許諾条件に沿わないとされ、使用料支払いや設計変更費用等が発生した場合、当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。
従業員の発明に対する職務発明補償・報奨については、発明者から訴訟を提起される可能性があります。
[対策]
当社グループでは、他社の知的財産を侵害することのないよう、社内規程の整備や製品出荷前の他社知的財産調査の徹底等を行うとともに、他社による当社グループ知的財産の不正利用の調査と是正対応を行っております。
従業員の発明に対しては、法令等に基づいた職務発明補償・報奨を積極的に実施しております。

(12)セキュリティに関するリスク
①情報セキュリティに関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、コンピューターウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃による社内ネットワーク・システムの運用停止や情報漏洩、不正利用等を完全に防げるとは限りません。万一、情報漏洩により個人の権利・利益を侵害した場合やお客様の情報を漏洩した場合には、当社グループの信用は低下するとともに、個人情報保護法やGDPR等の法令違反による罰金や制裁金が科されるおそれがあります。
また、これらのリスクは当社グループのサプライチェーン上でも発生する可能性があります。委託先におけるセキュリティリスクが顕在化した場合、お客様や当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
お客様、お取引先、または当社グループの機密情報や個人情報の保護については、情報保護マネジメントシステム運用の強化を図り、社内規程の制定、従業員への教育、現場点検、監査、業務委託先も含めた指導等を実施しております。
また、当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、ゼロトラストを実現するべく、IT基盤の特性に合わせて対策を講じています。標的型攻撃対策として不正アクセス対策やマルウェア対策に加え、デバイス管理、ID管理、データ漏洩対策を組み合わせた認証・認可基盤を構築し、巧妙化・多様化・複雑化するサイバー攻撃への対策を実施しております。
さらに、委託先におけるセキュリティリスクへの対処として、制度・セキュリティ強化の両面からサプライチェーンのセキュリティ強化施策を進めております。

②物理セキュリティに関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループは、敷地・建物・フロアの3層において物理セキュリティ環境を構築していますが、物理的な破壊による業務停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。このようなリスクが顕在化した場合、機密情報の漏洩や企業ブランド価値の毀損、ビジネス機会の喪失等、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループは、敷地・建物・フロアの3層において「人的警備」と「機械警備」を組み合わせた物理セキュリティ環境を構築しています。さらにより高度な物理セキュリティ環境を構築するために、なりすましを防ぐことが可能な静脈認証装置を組み合わせたセキュリティゲートを社内展開しています。

(13)人材に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存するため、経営者、優秀な高度専門技術者等、必要とする人材を採用及び育成するとともに、人材が継続して働くことができる環境を整備することが重要です。人材を採用または育成することができない場合、流出を防止できない場合や重大な労務問題が発生した場合は、当社グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、高度専門技術者に対する個別処遇やジョブ型人事制度等、多様性やチャレンジを尊重する組織風土を醸成するための人材制度改革を行うとともに、適切な労務管理を徹底することにより、優秀な人材を確保し活躍し続けられる環境を整備しております。

(14)当社グループの施設・システムに関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループでは、国内外に事業所・工場・データセンター等の様々な施設を保有・賃借するとともに、他社ベンダーのクラウドサービスを活用しております。地震、大規模な水害、火災、放射能汚染等の災害や感染症、テロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミス等が発生した場合、生産ラインの停止や、施設、社内基幹情報システム等の運用停止により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、社内基幹情報システム等においては、24時間365日体制によるシステム監視と運用体制を構築しています。また、いずれの施設・サービスについても、各国の建築基準その他の規制に準拠した独自の安全基準を設け、リスクの低減を図っております。

(15)環境・気候変動に関するリスク
[リスクの概要と影響]
当社グループでは、パーパスとして、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことを掲げており、環境を含むサステナビリティ課題への対応を経営の最重要事項の一つと位置付けています。しかし、事業活動を通じて環境汚染等が発生した場合、当社グループの社会的な信用低下や、浄化処理等の対策費用発生等により損益に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、気候変動等により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招き、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。現在、世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを目標に掲げていく中で、機関投資家も気候変動への取り組みを投資基準とする等、社会・経済のカーボンニュートラルへの流れが加速しています。温室効果ガスの排出量の規制強化や炭素税の導入に加え、顧客や社会のカーボンニュートラルへの貢献が求められていますが、これらの規制等に適合できない場合、企業レピュテーションの低下によるビジネス機会の損失や、規制への適合を条件とする入札に参加できなくなる可能性、規制適合のためのコストが増加する可能性があります。さらに、カーボンニュートラルに向けた技術開発競争が激化し、対応が遅れた場合、投資未回収や市場シェア及び利益率の低下に繋がり、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
当社グループでは、法律・条令等に基づき社内規程を整備し環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めています。エネルギー使用量においては、環境パフォーマンス管理システムによる事業所のエネルギー使用量の把握を行うとともに、電力においては、社内の調達電力システムを活用し、各社の電力料金の比較・分析を行い、契約電力のコストやCO2排出量等の最適化を図っています。排水・排ガスにおいては、関連法律・条例等の排出基準よりも厳しい自主管理値を設定し、定期的な測定により数値の監視を行っています。また、当社グループ工場跡地では、土壌や地下水の調査及び浄化活動を行っています。
さらに、主要な外部評価の評価基準を分析し、環境経営の評価軸に組み込んだ情報開示、環境パフォーマンス向上を狙いとした改善を図るとともに、グローバルな環境リーディング企業として社会的責任を果たすために、気候変動対策としてパリ協定の1.5℃水準に沿った温室効果ガス排出量削減と顧客や社会のカーボンニュートラルを戦略的に推進しています。また、顧客や社会のカーボンニュートラルに貢献するため、効率的な環境価値取引のエコシステムの構築を目指す新たなプロジェクトを開始し、企業や国を超えたCO2削減量等の環境価値取引市場に対して、ブロックチェーン技術やカーボンニュートラル関連技術に基づく環境価値流通プラットフォームの市場適用と活性化に向けた取り組み等を行っております。

従業員の状況研究開発活動


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